ごあいさつ

1915[T3]頃 医科大学附属医院1915[T3]頃 医科大学附属医院

未来へと新たな伝統を紡ぐ

東北大学医学部は、1915年(大正4年)の東北帝国大学医科大学・医学科が設置されてから2015年(平成27年)で百年目を迎えます。これまでの百年、東北大学医学部は国内外で活躍する臨床医や研究者、教育者を数多く輩出してきました。そしてこれからの百年、わたしたちは最先端の教育・研究・臨床に貢献することで、探求と創造の拠点として生命の未来を支え続けます。

艮陵同窓会は1872年(明治5年)5月11日を母校創立の日と定めていますが、これは仙台に「県立医学所」と「共立病院」とが設立され、現在の母校につながる医学教育が開始された日とみなしたことによります。しかし、その源流をたどれば、1736年(元文元年)に仙台藩明倫養賢堂が設置され、1760年(宝暦10年)に別所玄李が医学講師に任命されて医学教育を開始したころまで遡ることができます。時代を下れば、1817年(文化14年)には養賢堂から分離して仙台藩医学校が設置されており、この時から数えても約200年の歴史を有する伝統ある医学教育の場ということができましょう。

このような母校の長い歴史のなかで、本百周年事業の礎とする1915年(大正4年)は、東北大学医学部にとって格別に意味のある年と考えます。1915年(大正4年)7月14日、文部省令第10号により「東北帝国大学医科大学」が開設されました。開設時の学長には山形仲藝先生(外科学)が任命され、基礎系9講座が置かれました。同年12月10日には、「東北帝国大学付属図書館医科分館」も合わせて併設されました。これに伴い、1913年(大正2年)に東北帝国大学医学専門部に設置された附属医院は、「医科大学附属医院」に改称され、医学専門部附属医院看護婦養成所は、「医科大学附属医院看護婦養成所」となりました。このように、1915年(大正4年)はまさに日本国政府が医学教育の拠点として東北帝国大学に医科大学と医学科を開設した年であり、近代的歩みを始める東北大学医学部が形づくられた年と捉えることができます。

2015年(平成27年)の今年、記念すべき医学部開設百周年を迎え、記念式典および「医学部開設百周年記念ホール ―星陵オーディトリアム―」落成式、記念祝賀会を執り行うとともに、新たな医学部教育研究支援基金への募金や大学院医学系研究科女子大学院学生奨励賞の設置などに加えて、医学部環境整備(緑化対策他)も含めて記念事業として開始いたします。また、創立当初より星陵地区において密接な関係にあった「東北大学付属図書館医学分館」への援助も考えております。

国際的な学際研究の地として、最前線の医学教育の場として、また地域医療の一大拠点として、未来へと新たな伝統を紡ぎ続ける東北大学医学部に引き続き格段の御高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2015年(平成27年)9月吉日

東北大学大学院医学系研究科長   下瀬川 徹
医学部開設百周年準備委員長    下川 宏明

ページトップへ