各種教育コースについて

東北大学大学院医学系研究科では、充実した各種教育コースがあります。
受験可能な分野の一覧は、こちらでご確認ください。

遺伝カウンセリングコース

すべての医療にゲノムの情報を用いた遺伝学的検査と診断が用いられる時代を迎えたことから、チーム医療の枠組みにて必要に応じて適切な時期に遺伝カウンセリングを提供することが求められております。さらに東北メディカルメガバンクにおいて計画されているコホート研究などのゲノム解析研究に際しても、遺伝カウンセリング体制の整備が必要となります。

この遺伝カウンセリングの担当者として、チームの一員として協働できる高度医療専門職としての認定遺伝カウンセラー(CGC: Certified Genetic Counselor、学会認定資格)養成のための遺伝カウンセリングコースを医科学修士課程に平成25年4月に設置いたました。

教育には、遺伝医学、各臨床科、病院、他の研究科などと連携して、認定遺伝カウンセラー制度委員会(日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリング学会)の資格取得のための必要カリキュラムに沿って行います。

修了後は、CGC認定試験を受けCGC資格取得し、本学や東北地方の各大学・医療機関での採用、さらには、GMRC(ゲノムメディカルリサーチコーディネイター)やCRC(臨床研究支援者)らと協働してプロジェクトに参加、さらに東北地方の地域の保健センターや遺伝子検査会社等での遺伝情報のコミュニケーションの専門家の育成を目標とします。

ヒューマン・セキュリティ国際教育コース

1990年代初頭に冷戦が終結して以降、従来の「国家安全保障」の考え方に代わって、疾病、災害、貧困、紛争など人々の安全への脅威に対する取組みを重視する「ヒューマン・セキュリティ」(人間の安全保障)の考え方が、新しい国際社会を構築するキー概念として注目されるようになりました。とりわけアジア地域をはじめとする開発途上国の国々では、貧困、災害、劣悪な環境衛生と栄養障害などを背景に、いまなおたくさんの人々が,本来死ななくてすむはずの傷病によって生命と尊厳を脅かされています。また、感染症や環境汚染は国境を越えて人々の暮らしと安全を脅すようになりました。21世紀の国際社会が直面するこれらインセキュリティの実体はきわめて複合的な要因によってもたらされており、従来の専門知の壁を超えた複合的な視点で問題解決に向けた取り組みを推進できる新しいリーダーを必要としています。

医科学専攻修士課程「ヒューマン・セキュリティ国際教育コース(ヒューマン・セキュリティと健康)」では、医科学と国際保健学の最新知見に人文・社会科学の方法論を統合することによって、人々のいのちと健康を脅かしている要因の構造を理解し解決する能力を育て、日本と国際社会において政策や地域社会のリーダーとしてヒューマン・セキュリティの実現に貢献できる専門的職業人と研究者の育成をめざします。

同コースは、「ヒューマン・セキュリティ連携国際教育プログラム」の枠組みに沿って農学研究科、環境科学研究科、国際文化研究科が英語で提供する共通科目を履修でき、また必修科目はすべて英語で履修します。

分子イメージング教育コース

分子イメージング(Molecular imaging)とは、生物が生きた状態のままで外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する技術で、医学、薬学、工学の新しい境界・複合領域です。Positron Emission Tomography(PET),Magnetic resonance imaging(MRI)、Optical imagingなどの手法が用いられています。分子イメージングは、これまで、静的、定性的にしか判断できなかった生体内の変化を、分子レベルで可視化することにより動的、定量的に捉えることを可能とするもので、癌やアルツハイマー病などの認知症の超早期診断が可能になる技術として、大きな期待が寄せられています。

分子イメージングは、超早期診断法として確立するには工学領域での機器開発、薬学領域での分子プローブの開発、医歯学領域での診断法の開発等様々な研究課題があります。 医科学専攻修士課程「分子イメージング教育コース」プログラムは、これらの最新科学を利用した診断技術を開発するため、放射線医学、核医学、薬理学、腫瘍医学、精神医学など最新医学だけでなく、さらに薬学、工学、歯学との領域からの学際的アプローチを加味して、人材が不足している分子バイオ・イメージングに関する研究と教育を行います。また放射線医学総合研究所との連携プログラムもあります。

医学物理士養成コース

放射線医学は先端放射線医療機器を用いて医療に貢献する分野ですが、その中でも医学物理士は放射線治療の品質保証・品質管理や、放射線治療機器や技術開発に携わり、放射線治療の安全な施行とその発展に寄与する職種です。医学物理士には医学系と理工学系の科目の単位取得および臨床経験が必要です。医学部保健学科放射線技術科学専攻および理工学部卒業者を対象に,系統講義履修に加え,実習コースも併せて履修することで、研究、後進の教育の素養を持ち,がん診療に携わる他職種,他専門領域とのチーム医療が実践できる医学物理士の養成を目標としています。

授業の内容

保健学科出身者には理工系の科目履修、理工系学科出身者には医学・保健学系の科目履修が必須となります。修了時には両系出身者が同等の内容を修められる科目群となっております。

修了後の進路

  1. 医学物理士として大学病院,公立病院など
  2. 大学教員
  3. 医学系研究科博士課程(後期3年の課程)または他専攻への進学

腫瘍専門医養成コース

悪性腫瘍(がん)は、わが国の死亡原因の第1位であり、2人に1人が罹患し、3人に1人が死亡する時代を迎えました。本コースはがん医療に関する専門医を養成することが目的であり、腫瘍専門医養成コースに腫瘍専門医(放射線腫瘍)コース、腫瘍専門医(がん薬物療法)コース、腫瘍専門医(緩和医療)コース及び腫瘍専門医(腫瘍外科)コースを設けます。全コースの学生は、がん診療に必要な臨床腫瘍学の総論と各論を系統講義コースで履修し、放射線治療、がん薬物療法,緩和ケアについてトレーニングコースで一定期間実地臨床経験を積むことになります。さらに、論文研究で臨床腫瘍学に関連する論文作成を行うほか、アドバンスド講義コースのがんプロフェッショナル合同セミナーにより、最新のがん医療に関する知識を深めることになります。

高度臨床研究支援者育成コース

近年、根拠にもとづく医療(EBM:evidence based medicine)の重要性が叫ばれるようになりました。目覚ましい発達をみせた現代の検査技術などを駆使し、科学的なデータなど根拠にもとづいた医療を提供することは、現代の医療において必須になってきています。このように、科学的なデータなどを集め根拠を確立するためには、薬剤や医療機器の有効性や安全性を検証する臨床試験や、疾患の発症原因究明のために人の集団に対して行う疫学調査など、臨床研究の進展が欠かせません。我が国において、治験、トランスレーショナルリサーチなどの臨床研究に対する基盤整備の必要性の認識は、既に10年以上前から言われてきましたが、十分とは言えず、特に、これらを担う人材育成は急務と言えます。

医学系研究科では、高度化・多様化する臨床研究のニーズに即応できる人材を養成するため、医科学専攻修士課程に高度臨床研究支援者育成コースを新たに開設します。本コースは、医学系研究科と大学病院の各部署が連携し、臨床研究を支える専門職である臨床研究コーディネーター(CRC)、データマネジャー、プロジェクトマネジャー、薬事専門家、IT専門家などの育成を行います。

医療・薬学系学部出身者だけでなく他の学部出身者も歓迎します。また、社会人の入学も可能です。

医療AI人材養成コース

我が国は高齢/高齢化社会、医療者の偏在、働き方改革など多くの医療課題が山積しそれらを克服する必要があります。それらに立ち向かうため、本コースでは「地域ならではの豊富な医療課題をキュレーションし、AI 解決までをデザインできる人材を広く養成すること」を達成目標に掲 げ、博士課程人材養成プログラムを全国各地の大学や研究機関、民間企業、自治体と連携し推進します。本カリキュラムでは最先端 AI 研究開発に係る講義から始まり、医療現場での実課題に対しそれらのAI 知見を最適に活用する方法を身に着けます。他大学での医療 AI 関連講義とも相互 乗り入れを行い、「Global×Local な医療課題」解決能力を有する「最先端 AI 研究開発人材」を養成することを目標としています。

>医療AI人材養成コース

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