艮陵新聞特集 留学体験記⑵

英語ダメ人間留学記

融合医工学分野
木村 芳孝 教授
留学先:New York University Medical center

英会話は嫌いだった

私は英語が不得意です。初めて行ったコネチカット州でビッグマックを頼んだ時、エッグマックが来て以来、英会話は嫌いです。なるべくなら英語が無い世界で暮らしたいと思っていました。そんな私にNew York University Medical center (Ob/Gy)への留学の話が来ました。

私が留学を決意したきっかけは自分のやっている臨床の意味に疑問を持ち始めたことです。当時、医療崩壊が進んできており医師不足で多忙な日々が続いていました。
産科でチームリーダをしていたのですが、患者さんのために医師になったはずなのに患者さんに接する時間が少なく、人手不足の中で、ひたすらルーチンの診療に追われていました。

帝王切開時にNICUの先生から、「産科は良いね、帝王切開が終わればすぐ寝れるでしょ。」といわれ、夜中に別のお産を取りながら「このままでは、産科が崩壊する。何かを変えなければ。」と強く思い始めていました。留学することにしました。

ドイツ人の友人の言葉

私は、初めにNew York州IthacaのCorner大学で新技術の研修を受けることになりました。テーマは、DOHaD(developmental origin of health and disease)で、妊娠中に母親がジャンクフードばかり食べていると、こどもが産まれた後、成人期に生活習慣病になるリスクが2倍以上に増大することが分かり盛んに研究が進められていました。英会話とジャンクフードへの復讐を試みることになりました。

研修した技術は、約120μmの細い血管の薬剤特性を特殊な方法で測るもので、当時、出来る人がほとんどいませんでした。3か月かかるところを3週間でマスターしました。 

Ithacaは大変きれいなところでした。特にCorner大学は、緩やかの丘の上に立っており、きれいなチャペルや美術館までありました。映画のロケの中を歩いているようで、うっとりするくらいのどかな場所でした。

ドイツ人の研究者とルームシェアして住んだのですが、私が部屋で勉強していると、彼が決まって言った言葉が有ります。「Yoshi、勉強は外でするものだよ。外に出ようよ。新しい真理は本の中には書いていないのだから。」

尻込みしないで留学しよう

留学して、今の医療問題を解決する方法を見つけたわけではありません。英語の苦手が解消したわけでもありません。しかし、考えが大きく変わりました。世界に出て行動しなければ何も変わらないことがはっきり分かりました。さあ、尻ごみしてないで外に出ましょう。新しい真理は、きっと君に発見されるのを待っているのだから。

留学に関するQ&A

  • Q1 留学の準備の際に、最も苦労したことは何でしょうか?

    ビザの取得です。

  • Q2 留学先はどのように探しましたか?

    国際学会のオーラルの発表後に誘われました。その後、教授からの打診が有りました。

  • Q3 留学に際する費用について、奨学金などの支援は受けることができましたか?
    あるいは、留学先での生活費はどのように工面されましたか?

    留学先から研究員として雇用されて行きました。しかし、結局、不足分は、3カ月に1度休みを1週間まとめてとって、日本でトランクをして穴埋めしました。

  • Q4 留学先で困ったことは何でしょうか。

    日本においてきた家族の生活費をどう賄うかでした。

  • Q5 留学前に是非ともやっておくべきことは何でしょうか?

    生活に必要なものの準備です。また、出来れば現地の日本人と連絡を取って、必要なものを聞いておくのが良いと思います。

  • Q6(家庭をお持ちの方への質問です)御家族を、留学先に連れていかれましたか?また、その理由を教えて下さい。

    家族は、こどもの学校の関係で連れて行けませんでした。

(艮陵新聞276号、2012年4月2日発行)

※公開の記事は、本人と艮陵新聞の許可を得て転載をしております。
また、所属や職名、略歴などは、記事発表当時のものとなっております。

一覧へ戻る

pagetop