艮陵新聞特集 留学体験記⑸

イギリスで学ぶ児童精神医学

マンチェスター大学医学部
立花 良之 先生
留学先:Manchester University

自閉症の早期療育プログラムを学ぶために

私は今、イギリスのマンチェスター大学医学部及び王立マンチェスターこども病院児童精神科にてJonathan Green教授のもと、博士研究員をしています。
私は東北大学の大学院を終えた後、今までの自分の研究テーマに深く関係する自閉症の早期療育プログラムについて学ぶために留学してみたいと思うようになりました。自閉症の先進的な療育プログラムについて学べるところを探そうといろいろな論文を読んでいた際に、Green 教授の介入プログラムの論文を見つけました。是非Green教授のもとで学ばせてもらいたいと思いメールを出したところ、快く受け入れてもらえることになり、2010年11月より留学しています。

自分自身を客観的に振り返る

現在、Green教授の研究室では自閉症介入研究のメタアナリシスを行っています。この研究では、数多くの自閉症児の介入プログラムの方法論を学ぶと共に、臨床に役立つ知識を得る大変良い機会となっています。
またこども病院では、Green教授などの診療場面に陪席させてもらったり、家族支援プログラムに参加させてもらったりなど、イギリス式の児童精神科臨床を学ぶ大変貴重な体験をしています。
日本とイギリスでは当然、医療システムも治療方法もいろいろな面で異なります。日本の外に出てみると、これまで当たり前だと思って行ってきたことが実は当たり前でないと気づくことが多々あり、自分自身の臨床についても今までと違った視点で、客観的に振りかえる機会を得ています。
また、日本に住んでいるときから参加してみたいと思っていたいくつかの臨床のワークショップに気軽に参加できたりなど、医学を学ぶ上で英語圏にいることは大きな強みだとつくづく思います。イギリスに来てからあっという間に一年が過ぎましたが、留学の機会を得ることができて本当に良かったと思っております。

お世話になった先生方、家族に感謝

最後に「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」留学助成の事務局をしてくださっている仲村春和教授と、留学を考える際に貴重なアドバイスをいただきました川島隆太教授に心より御礼申し上げます。また、日々私を支えてくれている妻と息子たちに感謝しつつ、この文章を終えさせていただきます。

留学に関するQ&A

  • Q1 留学の準備の際に、最も苦労したことは何でしょうか?

    英語の勉強にかなりの労力を費やしました。

  • Q2 留学に際する費用について、奨学金などの支援は受けることができましたか?
    あるいは、留学先での生活費はどのように工面されましたか?

    日本学術振興会の「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」の留学助成を受けました。

  • Q3 留学先で困ったことは何でしょうか?

    留学して最初の1カ月は、社会的手続きなどがたくさんありとても大変でした。長男の幼稚園は、イギリスに行けばすぐ見つかると安易に考えていたのですが、行った時期が悪く、公立幼稚園の募集が既に締め切られていました。地元の幼稚園10ケ所くらいに片端から電話してみましたがどこも断られ、しぶしぶ、おそろしく学費の高い私立の保育園に入れました。幸い2か月後に公立幼稚園に入園できましたが、日本にいるときに市役所などに連絡をしっかり取っておけばよかったと後悔しました。

  • Q4 日本が恋しくなることはありましたか?

    最初の1、2カ月は日本が恋しくなることもありましたが、しばらくすると「住めば都」となり、自分のやりたいことに専念できる留学の環境がとてもありがたく思えました。

  • Q5 御家族を、留学先に連れていかれましたか?また、その理由を教えて下さい。

    長期滞在なので家族一緒の方が良いと思い、イギリスに連れてきました。子どもたちにとっても、イギリスでの生活はとても良い経験になっていると思います。

(艮陵新聞277号、2012年5月1日発行)

※公開の記事は、本人と艮陵新聞の許可を得て転載をしております。
また、所属や職名、略歴などは、記事発表当時のものとなっております。

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