艮陵新聞特集 留学体験記⑹

一度の人生 挑戦の日々

ノースウェスタン大学 心理学部
間野 陽子 先生
留学先:Northwestern University

私は2008年10月から2010年7月まで東北大学加齢医学研究所川島研究室で機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて主にヒトの社会的相互作用に関わる高次認知機能の研究に従事して参りました。2010年8月から現在にかけて、川島研究室での経験を生かしながら米国ノースウェスタン大学心理学部Joan Chiao研究室でポスドクとして研究を進めております。2009年11月に川島隆太教授が主催の国際シンポジウムを機に留学が決まりました。色々な不安もありましたが、川島教授にご相談させて頂きましたところ、人生は一度きりなのでやりたいと思ったことに挑戦すれば良いというご助言を賜り、決意いたしました。

ミシガン湖に面するキャンパス

ノースウェスタン大学は、米国イリノイ州エバンストン市にメインキャンパスを構える私立大学です。広大な敷地のキャンパスはミシガン湖に面しており、夏には湖水浴ができます。自然に恵まれ、リスやウサギが至る所を走り回っています。ミシガン湖畔には野鳥も沢山いて、気分転換に最適です。心理学部では、主に神経科学的手法を用いた研究がなされています。Chiao研究室では、医学部と共同で、fMRI、遺伝子解析、行動指標を用いた研究が進められています。MRIはシカゴのダウンタウンにある大学病院に設置されているため、fMRI実験の際には、シカゴまでスクールバスまたは地下鉄で約40分かけて向かいます。

文化で異なる認知機能

現在の研究は、日本と米国の認知機能の文化差をfMRIおよび関連手法を用いて比較・解析する研究です。主に感情に関わる脳内部位とされる扁桃体の活動に注目し、悲しみや心の痛みを認知する際の脳活動の人種・民族・言語・文化差を検討しています。

訛りの英語が飛び交う研究室

留学当初は本場の英語をなかなか聞き取れず、特に略語などの理解に苦労しました。幸い、研究室には、アメリカ人のほか、タイ人、韓国人、中国人、イタリア人、フランス人など多様な研究員、学生がおり、訛りの英語が飛び交い、質問すれば、皆さん親切に教えて下さいます。事務に関しては、自ら要求しない限り何も進まないということを痛感しました。しかし、日本人のような細やかな心遣いが歓迎されることも分かり貴重な経験をしております。今後も様々な文化に慣れ親しみながら研究に邁進して参りたいと思っております。

東北大学医学部および医科学系研究科の皆様の益々のご活躍とご発展を心よりお祈り申し上げます。

留学に関するQ&A

  • Q1 留学先はどのように探しましたか?

    興味のある研究室の中から、研究環境、研究費、治安などの生活環境、生活費などを考慮して、従来からやり取りがありました共同研究者の研究室に決めました。

  • Q2 留学先で困ったことは何でしょうか?

    留学当初は、米国の英語のスピードについていけず、なかなか聞き取れなかったことや、食文化をはじめとする文化の違いに困りました。

  • Q3 留学前に是非ともやっておくべきことは何でしょうか?

    現地の言語習得と文化的背景を学ぶことだと思います。また、留学先の研究室の最近の論文を熟知しておくと、研究室での議論についていき易いと思います。

  • Q4 日本が恋しくなることはありましたか?

    留学当初は日本食がなかなか手に入らず寂しくなりましたが、アメリカでもお寿司は人気のようでアジア系のレストランで頂けることが分かりました。日本食は日本スーパーや韓国スーパーで必要なものが手に入るので次第に生活にも馴染んできました。現在では生活の中にアメリカの文化も取り入れつつ過ごしていますので多文化を楽しんでいます。

  • Q5 留学して、日本との違いに驚いたことはありますか?

    先生をファーストネームで呼ぶ文化ですので最初は違和感を感じましたが、厳しい上下関係に縛られない環境があるからこそ、教授から学生まで垣根なく活発な議論ができるのだと思います。また、研究室には学部卒業後のリサーチ・アシスタント(RA)やマネージャー、プログラマーがいて、実験の遂行、被験者や研究会の管理、プログラミング作成などを手伝ってくれ、効率的に研究室の運営がなされていることに驚きました。蛇足ではありますが、ランチタイムにはリンゴやバナナなどの果物をそのままかじっている人が多いのにも驚きました。

(艮陵新聞278号)

間野 陽子(まのようこ)

2008年9月
総合研究大学院大学生命科学研究科修了 博士(理学)
2005年9月-2008年9月
自然科学研究機構生理学研究所 リサーチ・アシスタント
2008年10月-2010年7月
東北大学加齢医学研究所脳機能開発研究分野 博士研究員
2010年8月-現在
ノースウェスタン大学心理学部 Postdoctoral Research Fellow

※公開の記事は、本人と艮陵新聞の許可を得て転載をしております。
また、所属や職名、略歴などは、記事発表当時のものとなっております。

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