大学院特集2016 女子大学院生奨励賞 受賞者

櫻井 美奈子さん
2016.5
女子大学院生奨励賞 最優秀賞受賞者インタビュー
「自分のできる限りの力を尽くして」
病理診断学分野
櫻井 美奈子さん

どのような研究テーマで七星賞を受賞されたのですか?

乳がんの組織中の微小環境に特に着目して、どうやってがん細胞は他の組織に浸潤していくのか、そのメカニズムについての研究です。ヒト乳癌組織を用いた病理学的解析や、乳癌培養細胞株と初代ヒト脂肪細胞、及びマウス脂肪細胞株を用いた培養実験による検討を行って、脂肪細胞との相互作用による癌細胞の悪性化に関係する細胞外へ分泌されるタンパク質を見つけました。これらのタンパク質を研究することで、将来的に乳癌細胞の浸潤リスクなどを示すバイオマーカーに成り得ると期待しています。

七星賞の受賞は、どういう部分を評価されたと考えていますか?

医師免許を持たずに医学博士をとるということが、日本ではあまり一般的ではないのですね。それで将来、研究者を目指すことは大変だと覚悟していたので、業績を自分で積極的にアピールしていかないといけないと思いました。例えば、東北大学のイベントに協力したり、論文を出したり国際学会に積極的に参加したり、なるべく目に見えるような形として。自分ができる限りのことをやってきているつもりでしたので、それを先生がたに見ていただけたのかなと思います。論文だけではなくて、その他の活動も評価していただけたことが、とても嬉しかったです。

七星賞を受賞した感想をお聞かせください。

大学院に進学したときに、「女の子なのにどうして博士まで行くの?」と、たくさんの人から聞かれました。女の子はみんなサポートしてくれるんですけど。大学院生や研究者の職業は、なかなか一般の方にはわかりにくいようですね。大学で働いているって言うとすごく安定しているって思われがちですけど、身分も不安定な時期なので、こういう賞をいただいたりインタビューの機会をいただけたりして、制度や現状をもっと一般に知ってもらうというのにいい機会だなと思って、すごく感謝しています。研究科のアニュアルレビューに掲載された対談記事を読んで、先生がたが賞を設立するのに携わったっていうのを知ってすごく感動して。先輩の先生がたが、私たちの将来のことを本当に考えて賞を設立してくださったということが、とても励みになります。

どうして大学院に進学しようと思われたのですか?

元々生物学に興味があって、生体とか病気の仕組みを知るというのがすごくおもしろいなと感じたことがきっかけです。高校生の頃は獣医師を目指していました。獣医になるためにいろいろ調べたら、アメリカが進んでいるということを知って、獣医師を目指してアメリカに渡りました。でも、実際に現地でボランティアや勉強をやってみて、アメリカの獣医大学院に入ることがいかに難しく、経済的にも負担が大きいことを実感しました。それで、進路に悩んでいるときに日本の大学院を見に来て、東北大学の病理診断学研究室を見つけたんです。元々病理学研究を大学のときに少しやっていたので、病理というのはいろんな病気を診ることができて、基礎と臨床の架け橋になるということが、とてもおもしろいと思いました。

なぜ東北大学を選んだのですか?

これまでの知識や経験を活かすために、国際的に活躍できるところを探しました。他の大学も検討しましたが、東北大学に来たときに、笹野先生(病理診断学教授)がとても熱心にリクルートしてくださって、国際色が豊かな研究室に一般の日本社会とはバックグラウンドが違う私のことも受け止めてくれるような体制が整っていました。ここだったら自分も心地よく集中してやりたい研究ができるんじゃないかなと思えたので東北大学に進学することに決心しました。。

研究者になるために大変だったこと、乗り越えてきたことは何ですか?

友だちに「研究者」と言っても「何をやっているの?」というふうに聞かれたりすることが多くて、一般の方に対して「研究者」に関する説明をしたり、理解を得ることが難しいと感じることがたまにあります。さらに、私はアメリカの大学を卒業したので、日本の大学のシステムや考え方の違いに戸惑うことも多く、最初は女性研究者としてロールモデルになるような人が身近にいなかったので、「この道でいいのかな、研究者としてやっていけるのかな」と、いつも不安でした。
そこで、自分の指標というか可能性を探るために、いろんな賞や制度に応募してきました。例えば、修士課程から博士課程に進学するときは、国際高等研究院の研究教育院生に採用されたことで、研究を継続しようと思えました。博士課程の4年間も、サイエンスエンジェルで活動をしたり学会に応募したり、自分から積極的に行動することによって、楽しさを忘れないようにしていました。辛いとばかり思ってしまうと続けていけないですよね。博士号を取得した後も、日本学術振興会の特別研究員に採用されたことをきっかけに、じゃあもう少し頑張ってみようという感じで、賞やいろんな制度を利用しながら、先生たちにもサポートしていただきながら、継続して乗り越えてきました。

今後どんなキャリアパスをイメージしていますか?

国際学会で知り合った先生がたとお話をしたら「一緒に研究をしよう」という話をいただいたので、今は海外との共同研究を進めたいと思っています。また、いろんな人と話をしていくうちに、海外の先生がたからリクルートして頂いたので、今は次のステップアップのための場所を選定しているところです。 どこまで行こうかな、継続しようかな、と本当にいつもいつも悩んで来たんですけれども、悩むたびに助けてくれる人は必ず見つけられるものなんだなと思います。いつも周りの大先輩たちにアドバイスをもらいながら、感謝を忘れずに1歩ずつ踏み出して行っている感じです。この賞もきっかけになりましたし、研究者として頑張ろうっていう気持ちを改めて実感しています。

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

一覧へ戻る

pagetop