教員インタビュー

前へ進む

東北大学大学院医学系研究科 放射線診断学分野
高瀬 圭 先生

放射線診断学分野Webサイト

2月1日に着任された高瀬圭教授をご紹介します。

高瀬 圭 先生 インタビューの様子

ご専門分野、ご研究の内容を、簡単でかまいませんので教えていただけますか?

専門としている研究は2種類あります。
1つ目は画像診断に関する研究です。マルチ・ディテクターCT(MDCT)やMRI、超音波を用いて微細な構造や血流の状態を描出して、より正確な診断や今まで診断できなかった病態を診断可能にする臨床研究を行っています。
2つ目は、インターベンショナル・ラディオロジー(IVR)です。これは、CTを見ながら体内に細い管(カテーテル)や針を入れて、体の中の病気を治す治療法です。今までは手術しかなかった治療を、1~3 mmの針の孔を開けるだけで治すので、より体に優しい治療法です。カテーテルや焼灼針を含むIVR用の医療機器は、より細く良質なものがどんどん開発されています。新しい医療機器を医工産学連携で開発し、それを臨床研究や治験で検証して、新しい治療として確立することにも力を入れています。

先生にとって、医学研究の魅力とは何ですか?

CT、MRI、超音波、血管造影、核医学といった今急速に発達をし続けている画像診断機器、IVR機器について、基礎の研究をする医工学者や開発している業者の方と共に、正しい使い方、臨床的に有効な使い方というのを探り、実際に目の前の患者さんに役立てることができることです。
例えば、MDCTで脊髄に栄養を送る細い血管である「Adamkiewicz (アダムキーウィッツ)動脈」を描出できたことはうれしかったですね。大動脈瘤の治療に人工血管置換術を行う際に、術後脊髄虚血による下半身の麻痺(対麻痺)を生じることがあり、それは、Adamkiewicz動脈に関連しています。大動脈から左右に多数ある肋間動脈や腰動脈のいずれかから1本だけ出ていて非常に特徴的な「ヘアピン状のカーブ」で走行します。どこから出ているかは個人により違います。この血管の場所を特定することはそれまで困難と言われていましたが、熱心な放射線技師との協力で当時、日本で4台目位に導入されたMDCTを用いて試行錯誤を繰り返して、「ヘアピンカーブ」がCTで検出された時は一同で感激しました。2002年にまとまった論文として発表しました。その後、外科手術前にはこの血管をCTで検出して心臓血管外科の先生方がどの肋間動脈を温存するかの情報として役立てていただいています。見えなかったものを見えるようにして診断してそれが患者さんに役立っていくことが放射線診断の大きな魅力です。
IVR研究の魅力は、より患者さんに負担の少ない治療法で従来と同等の治療効果を挙げられる様な方法を開発して、実際に患者さんが良くなっていくことを実感できることです。

今までで、いちばん嬉しかった研究の成果、エピソードを教えてください。

1つは今お話ししたような診断に役立つ構造の新規描出に成功したときです。
もう1つは、IVRで「原発性アルドステロン症」という高血圧症の治療を行った治験1例目が成功した時です。これは、副腎に小さな良性腫瘍(腺腫)が出来、それがホルモンを多量に出して血圧を上げてしまうという病気です。従来はこの腫瘍を手術で取っていましたが、CTで見ながら、先端に電気が流れる針を刺して、焼き切る研究をしています。治験1例目の患者さんを治療したところ翌日には血圧が下がり、ホルモン値が正常に戻ったのです。共に治験を施行している腎高血圧内分泌科の先生からホルモンが正常化した旨連絡を受けた時は嬉しかったですね。IVRは翌日には普通に歩いて生活できるような体に負担の少ない治療です。今、医師主導治験で「原発性アルドステロン症のIVR治療」の完成を目指しています。
これから期待しているのは、ベルギーの企業が開発した新しい概念のステントです。これを日本で初めて用いて、動脈瘤の治療を始めようとしています。東北大学の流体科学研究所の先生が開発時の構造計算に協力したこともあり、東北大学心臓血管外科と放射線診断科で臨床試験を行うことになりました。空隙率があるにもかかわらず流体的理論で動脈瘤が血栓化していくという画期的なステントでのIVR治療と流体解析を行う予定です。このような医工産学連携によって診断技術の開発に努めたいですね。

ご趣味や特技は、何ですか?

趣味は、学生時代にやっていた卓球と将棋です。
将棋はアマチュア四段で、高校時代に全国大会で団体準優勝しました。決勝で負けたその相手に東北大学将棋部で再会して驚きました。子どもの頃から始めたので将棋は非常に好きなのですが、今は指す時間も無く、飛行機の中などでコンピューター将棋を偶に指してもほとんど負けてしまいますが一応学友会将棋部顧問です。
卓球は、中学と大学時代に、大変夢中になってやっていました。今年度は東日本医師卓球大会に出たのですが、7戦全敗。最後に女医さんにも負けてしまいました。今はなかなか時間がありませんが、いつでもできるようにラケットを常備しています。
特技は、南京玉簾です。国立循環器病センターでの修業時代等にはクリスマスパーティなどで披露したりもしました。
どれも非常に好きなのですが、時間がないですね。今の趣味は、放射線医学に尽きますかね。

座右の銘は、ありますか? もしくは、好きな言葉は何ですか?

座右の銘と言えるかわかりませんが、「前へ進む」のが信条です。やるかやらないか迷ったらやる方針です。ちょっといろんなことを引き受けてアップアップですが。

教授に就任された抱負、これからの夢を教えてください。

近年、診断技術の進歩と普及により、画像診断の需要が急速に増えています。当院でも、ここ15年で約4倍に画像診断件数が増えました。東北大学病院ではそこをいち早く考慮し、スタッフを増員していただき感謝しています。最新の医療機器や本学の優秀な診療科や研究者との連携により、これまでお話してきたような新しい研究に積極的に取り組むことができています。ほとんどの患者さんは、何らかの画像診断を受けて治療されるので、我々はそういう「要になるところ」という意味で非常にやりがいを感じ、病院全体の役に立ちたいと思っています。
放射線診断医としての高いレベルの臨床を若い人に習得してもらい、今の放射線医学のハイエンドのレベルまで到達する、そして、今の最先端のレベルでもまだまだ足りないところを発見して、「この分野を私は解決するぞ」、といテーマを見つけで研究を進めるような立場になってほしい。「従来の限界を超えるような診断法とか治療法を開発する」という意気込みと役目を担ってほしいなと思っています。

前へ進む

ありがとうございました。

一覧へ戻る

pagetop