教員インタビュー

真夜中に、
ひとりでガッツボーズした。

東北大学医学部大学院 医学系研究科 医科学専攻 血液・免疫病学分野
(現)東北大学病院、血液・免疫科 渡部 龍 先生
渡部 龍 先生

渡部先生の朝は早い。インタビューのお約束は、朝の9時であったが、たいていは、7時半には、研究室にいらっしゃるという。

「7時半から免疫学の教科書の読み合わせを、3人でしているんです」

渡部 龍 先生 インタビューの様子

先生にとって、時間は何よりも貴重なものだという。

ご専門は、膠原病。大学では、循環器内科を専攻されていたが、初期研修のときに、変わられたそうだ。

「初期研修の臨床で、膠原病の患者さんに接していたのですが、その時、この病気の複雑さを知り、解明したいと思いました」

現在は、膠原病の原因を解明するための研究をすすめていらっしゃる。

たった3回だけど、かけがえのない瞬間。

先生は、大学生の時から、将来は、研究の道に進みたいと思われていたという。

「研究を始めるのは、早ければ早いほどいいと思います。
なぜなら、発明と言えるような新しい発見なんて、そんなにたくさんあるものじゃないんです。10の実験をしても、報われるのは1あるかないか。
とても時間がかかるものなのです」

だからこそ、成功した時の喜びは、たとえようもないものとなる。

「僕は、3年間、毎日のように研究していますが、成功したといえるのは、そうですね、3回もあるかな。
ともかく失敗が多いので、心が折れそうになることもあります。それでも、たった3回でも、それはすごくやった、というか、宝物のような時間なのです」

なかでも、2011年の8月、世界で初めて、人のリンパ球を用いた測定系をつくりあげたときは、特別な思いだったという。

「僕の研究が成功するときって、だいたい夜なんです。
その時も、そうでした。
真夜中ですから、研究室には、誰もいないんですけど、この発見をした時、思わずガッツポーズしてしまいました。夜中なので、友達や先生に言うこともできず、翌朝が待ち遠しかったことを、今でも覚えています」

先生が報告された時、指導教授や研究仲間は、それこそ自分のことのように、喜んでくれたという。
心が折れそうにもなる研究生活には、仲間がいる意味はとても大きいと、先生は力を込めておっしゃった。

世界に報告がないものを求めて。

「医学部生って、もともと研究が好きな人は多いと思うんです。つきつめて考えたり、理論的に考えることは、得意な人が多いので、一度はじめてみれば、研究はきっと楽しいと思うのではないでしょうか」

研究は思っているほど難しいものでもない、と先生は微笑まれる。
そんな先生も、お話がご家族のことになると、ちょっと複雑な表情に変わった。

「忙しくて、家で妻とゆっくり話をする時間もなくて。
でも、そんな僕を陰でよく支えてくれて、感謝しています。
1歳になる息子がいるのですが、寝顔を見るだけで、疲れがとれます」

将来は、ご家族と一緒に海外に留学して、研究だけに没頭する時間を過ごしたいという。先輩からも、海外の研究の素晴らしさを時にふれてお聞きのようで「世界的な発見につながる研究をしたいと」目を輝かせてこっそり教えていただいた。

インタビューの翌日、学内を撮影してまわっていた私たちは、おにぎりを片手に実験に夢中になっている先生をみかけた。
それこそ今は「食事をする時間も惜しい」という渡部先生。

先生が、再びガッツポーズをする日は、そう遠くはないはずだ。

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