学際領域ゼミ

スマート・エイジング〜脳科学を応用して健康長寿の実現を目指す〜

2015.7.3 平成27年度 第2回学際領域ゼミ

東北大学加齢医学研究所長 川島 隆太 先生

加齢研所長として東北大学そして超高齢化社会・日本の未来を支える川島教授

東北大学加齢医学研究所長である川島隆太教授より、「スマート・エイジング〜脳科学を応用して健康長寿の実現を目指す〜」というタイトルで講義を頂戴しました。川島先生といえば、世界中に“脳トレ”ブームを巻き起こしたゲームソフトの開発研究で有名ですが、ゲームの他にも様々な企業との産学連携を行うことで多角的な視点から最先端の脳科学研究に関する測定装置を共同開発しています。今回の講義では私たちの興味を惹くような現在進行中の研究成果についてご紹介いただきました。

脳機能イメージング研究の紹介

脳の機能を可視化する脳機能イメージング装置はいくつかあります。それらにはそれぞれ長所短所があり、研究の目的によってうまく使い分けたりあるいは組み合わせたりして測定します。まず、私たちにとって一番馴染みのある装置はMRIだと思います。中には病院などで実際に経験された方も多いのではないでしょうか。Magnetic Resonance Imaging: MRIは、体内の水素原子の核磁気共鳴現象を利用して組織を画像化する技術で、このMRI装置を応用して脳機能を測定する方法を機能的MRI(fMRI)といいます。外部からの感覚刺激や認知課題を与えたときの脳を画像化し解析することで活動していた脳部位を特定することが出来ます。MRIは空間分解能が高く非常に鮮明な画像が得られますが、逆に時間分解能は低く継時的な変化を測定することは出来ません。どのようなタイミングで脳に情報が流れているのかを詳細に計測するためには、脳磁計(Magnetoencephalography: MEG)を使用します。さらに、これらの実験から得られた基礎的な知見を基に近赤外線分光装置(Near Infra- Red Spectroscopy : NIRS)を用いてより生活環境に近い状態で脳計測を行います。川島先生らのグループは、産学連携によりウェアラブルタイプの超小型NIRSの開発に成功しました。この装置はヘッドホンと同じくらいの大きさで簡便に最大20人までの同時計測が可能で、複雑な環境下や知的作業を行っている集団において脳活動の同調度を計算することでコミュニケーションの定量化につながる可能性を秘めいています。また、メガネ会社と通常のメガネとほぼ変わらない外観で眼球の電圧変化によって眼球運動のモニタリングが出来る眼電計を開発しました。例えば眠気や疲労感を検知し自動車やスマートフォンなどにデータを送ることができます。さらにこの眼電計は加速度センサーも内蔵していて、メガネは体軸中心に装着するため従来の腕輪型の製品と比較して計測値の正確性がより高いことから、スポーツ科学への応用や認知症など病気の早期発見や改善にも応用できるのではないかと期待されています。

川島 隆太先生

超小型NIRS装置の実演

最後に前述の超小型NIRSによるコミュニケ―ションの定量化についてのデモを見せていただきました。川島先生は脳活動をリアルタイムで可視化のみならず可聴化、つまり“音”に変換する技術を披露しました。実際に音楽として表現された脳活動を聞いてみると不思議な気持ちになりました。また、青木先生と学生3人のコミュニケーション中の脳活動同調の具合から、「青木先生は強面だけどさすが臨床医なだけあってコミュニカティブですね。」と独自の考察を述べ会場の笑いを誘いました。

講義の終了後は参加した学生のみならず聴講されていた秘書の方からも質問が飛び出し活発な議論が展開され、私たちにとってとても楽しく為になる講義となりました。

講義の様子

文責:脳機能開発研究分野 大学院生 榊 浩平
撮影:代謝疾患学分野 大学院生 千葉 弓子

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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