研究推進・研究倫理ゼミ

動物実験を取り巻く状況

2015.7.10 平成27年度第2回研究推進・研究倫理ゼミ

医学系研究科附属動物実験施設 教授 三好 一郎 先生

三好一郎先生による動物実験をテーマにしたご講演

昨年度3月に附属動物実験施設長・医用動物学分野教授に着任された三好一郎先生より、『動物実験を取り巻く状況』というテーマでご講演頂きました。

動物実験とは?

はじめに“3Rsの原則”や“科学者の権利と責任”といった、実験動物に携わる者の基本について説明して頂きました。
動物実験の3Rsの原則とは、

  • Replacement(置換・代替):可能な限り動物を供する方法に変わりうるものを利用すること
  • Reduction(使用数の削減):可能な限りその利用に供される動物の数を少なくすること
  • Refinement(実験精度向上・苦痛軽減):可能な限りその動物に苦痛を与えない方法によること

といった国際理念のことで、動物実験はこの3Rsの原則に準ずることが義務となっています。科学者は研究を行う権利を享受する一方で、このような多くの責任を負っているのだということを再確認させられました。

教授 三好一郎

動物実験を取り巻く社会

科学者や企業はより一層“代替法の検討”や“適切な情報公開”に留意し、メディアや市民へ歩み寄る必要があると述べられました。
動物実験やその情報公開は適切な機関や法律に従って実施することが重要です。

エンリッチメント

また、実験動物の福祉(エンリッチメント)についてもお話をして頂きました。 実験動物の福祉とは『人間が動物を使用することを認めつつも、苦痛や恐怖を極力回避し、動物の心理的幸福を実現しよう』という考えです。これは倫理上必要なことはもちろん、正確な実験データをとることにも貢献します。 今回は、東北大学動物実験施設職員の末田輝子さんを例に、“動物の5つの自由”に基づく実験動物の術後管理や環境エンリッチメント、馴化を徹底する重要性をご教授頂きました。(参考資料:『ありがとう実験動物たち』岩崎出版)

講義の様子

動物を用いる実験の実例

さらに動物実験を用いた研究の実例として、三好先生がこれまで行ってきた「新たなモデル動物の作成」や「自然発症モデル疾患の原因遺伝子の同定」といった研究成果についてご説明頂きました。特に今回の講義では、Mogp-tag雌性生殖器腫瘍マウスによる卵巣腫瘍モデルの樹立および有用性(Sherman-Baust CA et al. J Pathol. 2014)についてご教授頂きました。

講義の様子

これからの動物実験に大切なこと

最後に、三好先生は「適正な動物実験と動物福祉は相乗的関係にある」と総括され、我々は常にこの考え方を基礎に動物実験に向き合わなくてはならないのだと気を引き締められました。
そして科学者や企業、行政、市民が一丸となって実験動物について考え、歩み寄り、議論することが“人間と動物両者の福祉を両立させること”に繋がっていくのだと痛感しました。

文責:医化学分野 大学院生 石原 大嗣
撮影:看護アセスメント学分野 大学院生 包 薩日娜

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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