平成27年度第5回学際領域ゼミ

無秩序のなかに隠された構造

2015.9.25 平成27年度第5回学際領域ゼミ

東北大学原子分子材料科学高等研究機構長大学院理学研究科・数学専攻教授 小谷 元子 先生

「共通言語」としての数学

本日は東北大学原子分子材料科学高等研究機構 (AIMR) の機構長である小谷元子先生より、材料科学研究における数学の役割やその強みをご講義いただきました。本講義でご紹介いただく数学的視点は小谷先生のご専門である幾何学から発展し、あらゆる分野に応用が可能です。

材料科学は、物理、化学、工学などあらゆる分野を統合し新たな材料を構築する科学です。AIMRではこれらのバックグラウンドが異なる分野の知識や経験の融合を目指して、数学、主に離散幾何解析学を用いて、材料の構造や機能の理解と新たな材料の開発に取り組んでいます。

小谷 元子先生

Inverse Design

我々の見ている世界は繋がっているもの(連続)であり、それを記述するためには微分方程式を用いて記述することができます。しかし実験データは、連続データではないので、解析学では扱うことができません。ところが、現在では観測技術が進歩し連続データでは無いけれども、多くのデータが取得できるようになり、非連続のデータの中から連続的なものを見つけ出すという試みが行われるようになりました。それが、離散幾何解析学です。離散幾何解析学を使って、原子・分子などの要素からなる材料の構造を理解することができれば、逆に新しい材料を作るための要素を探す事が可能です。このような手法で新しい材料を作ることをInverse Designと呼び、すでに世界中で試みられています。

無秩序の中の秩序

結晶構造は周期性があり基本的なパターンを理解することが可能です。一方で、準結晶・アモルファス構造は、周期性がなく基本パターンを持ちません。しかし、最近の計測技術を用いることで、局所を観察すると一定のパターンを持っていることがわかるようになりました。この局所データがあれば、そこから大きな構造を抽出する数学的手法「トポロジー」を適応することで、全体像を明らかにすることが可能です。特に数学の分野で進展中である「パーシステント ホモロジー解析」を適応することで、AIMRでは隠れた秩序を見いだすことに成功しています。

講義の様子

数学の強み

数学を用いると、複雑かつ不連続なデータを単純化・抽象化・普遍化・概念化することで、理解が容易となり、発展へ繋げることが可能であることを学ぶことができました。
私達が研究対象としているヒトは、まさに複雑であり不連続なものです。私達の研究にも「パーシステント ホモロジー解析」という考え方を適応することで、見えなかったものが明らかになるのだろうと思います。

文責:高次機能障害学分野 大学院生 間宮 靖幸
撮影:医化学分野 大学院生 土田 恒平

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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