研究推進・研究倫理ゼミ

研究不正を考える

2015.12.14 平成27年度第6回研究推進・研究倫理ゼミ

医学系研究科細胞増殖制御分野 教授 中山 啓子 先生

本日は、中山啓子先生より、現在トピックとなっている「研究不正」について、ご講義していただきました。日本の科学界にとって大スキャンダルともいえる事例があってから、日本の研究倫理について見直しがされています。そこで、中山先生は、なぜ研究不正が起こるのか、研究不正が起こらない・起こさないためにはどうすればよいのかを、具体的な例をもとに講義してくださいました。

中山 啓子 先生

赤信号を渡るのは悪い事?

中山先生は、まず「赤信号を渡るのは悪い事か?」と私たちに問いかけました。私たちは、信号が赤を表示しているときは道路を渡ってはいけない、というルールを親や義務教育の過程で学んでおり、ルールを無視し事故にでもあえば、自分だけでなく社会に多大な迷惑をかけてしまうということを知っています。つまり、赤信号を渡ることは悪い事であり、その理由もしっかりと理解しています。「では、研究不正は?」と、中山先生は問いました。研究不正とは、研究データを「ねつ造」、「改ざん」、「盗用」することであり、字面からでも悪い事であるのは一目瞭然です。しかし、具体的にはどこまでが研究不正なのか、研究不正をしたらどうなるのか、ということを完璧に理解している人は多くないでしょう。なぜならば、研究不正についてしっかりと教育を受けたことがない人がほとんどであり、研究機関においても研究倫理の教育をする義務がなかったからです。研究倫理については機関ごとに存在する暗黙のルールに依存しているのが現状でしょう。では、研究不正をなくすためにはどうすればよいのでしょうか。

講義の様子

研究不正をなくすためには

研究不正をなくすためには、「研究不正について理解すること」です。具体的にどういったことが研究不正なのか、研究不正をしたらどうなるのかをしっかり理解する必要があります。また、ケーススタディをもとに、研究不正というものを明確にすることが重要です。ケーススタディの中核は画像処理と統計にあり、それらの世界共通のルールを学ぶことにより、研究不正を防ぐことができると考えられます。さらに、実験ノートを丁寧に書き、自分の研究の軌跡を残すことで研究不正をなくすことができます。

講義の様子

倫理の問題は全ての職業人共通のコンプライアンス

倫理の問題は研究者だけの問題ではなく、すべての職業人共通のコンプライアンスであり、科学界のルールです。このルールを破棄することにより、社会全体の信用を無くしてしまうだけでなく、科学の発展の大きな障害となり、極論ではありますが、医学界においては技術や知識の遅れにより救える患者の命も救えなくなることになりかねません。研究不正についての理解が深まることで、知識や技術が躍進し、研究をはじめ、社会が発展していくことに期待したいです。

文責:機能薬理学分野 大学院生 飯田 智光
撮影:皮膚科学分野  大学院生 山内 丈史

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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