学際領域ゼミ

遠隔てんかん症例検討会:多施設中継デモ

2016年9月6日 平成28年度 第5回学際領域ゼミ

医学系研究科てんかん学分野 教授 中里 信和 先生

中里 信和先生

遠隔ビデオシステム

中里先生は、脳神経外科医の経験を経て、日本で初めて「てんかん学分野」という講座を立ち上げました。去年12月には東北大学病院に「てんかんセンター」を設立し、現在はそのセンター長も兼任していらっしゃいます。この度のゼミでは、てんかんの基礎知識の提供から、実際に遠隔ビデオシステムを使ったてんかんの症例検討をデモンストレーションしていただきました。遠隔ビデオの連携先は、星陵オーディトリアムから東北大学病院てんかんセンター、熊本大学病院、九州大学、北海道大学、札幌医大脳外科、釧路総合病院、筑波大学、大芝病院(山梨)、気仙沼病院、夏休み中の助教の先生と日本全国に渡りました。遠隔ビデオシステムを提供し、この度のゼミでもシステムエンジニアとしてサポートしていたのが、ポリコムジャパン株式会社であり、こちらの会社は、国の定める情報管理基準をクリアし、数々の企業のビデオ会議や最近では医療現場における遠隔システムをバックアップしているということでした。

講義の様子

てんかんの基礎知識

まずは、てんかんの基礎知識についての講義がありました。てんかんの有病率は全世界で1%であり、日本には老若男女問わず100万人以上の患者さんがいるそうです。また、正しい診療で8割近い患者さんが普通の生活を送ることができるそうです。
しかし、中には精神疾患と間違われ、てんかんという診断がつかない、または発作の自覚症状がなく受診しない、という理由から正しい治療が得られていない患者がいることも事実だそうです。てんかんの発作時には本人の意識、記憶はなく、そのために交通事故を繰り返したり、同じミスを繰り返していることがあるそうで、そういう方を見つけたら原因の1つにてんかんを疑うということでした。ゼミでは、役者が演じたてんかん発作のビデオを見て、実際の症状とその時の対処を学びました。てんかん発作では、バイトブロックなど患者の口に何か入れようとする必要はまったくなく、発作が落ち着くのをただ待つ、というのが対処として大切だと説明されました。てんかん患者の入院中のビデオからは、ベッド柵にクッション加工(タオルなどを巻きつける)をしたり、発作の時間を記録している様子がわかりました。そして、面会者は確かに、患者の発作時(ビデオでは強直性痙攣ではなく、意識減損状態とジストニア肢位)に特に何もすることなく、発作の時間と患者を見ていました。これらより、てんかん発作時には、意識のない患者が物などにぶつからないように配慮し、発作が落ち着くまで見守るという対処方法を学びました。

講義の様子

遠隔ビデオシステムによる症例検討

また、症例検討では、入院中の状態(動画)、MRIやPET、脳波を使っての脳機能の評価、知能指数レベルや認知機能、精神状態や家族の支援状況など、多方面から患者に対する治療及びケアが考察されました。ここで、てんかん患者は認知機能の低下こそあれ、自身の失敗や他者への罪悪感から抑うつや不安を抱えていることを知りました。また、脳波は非常に複雑なため、機械での解析が不可能で、専門医でなければ読み取れないということを知りました。ゼミでは実際に、脳波をわかりやすく説明していただきましたが、この脳波の24時間分かそれ以上の量を読み取るとなると、本当に専門知識や労力が必要であると感じました。遠隔システムに参加していた、郊外の病院の先生方からも、脳波や日々の症状(診察時の状況)の判断が難しいため、遠隔システムにより大学病院にコンサルテーションできることはとても心強く感じているという声が聞かれました。このように遠隔システムは、地域医療に従事する医師の孤独さや過酷さを軽減し、モチベーションを維持することに役立つということでした。地方に住んでいる患者にとっても、遠方の大学病院に行かなくても、遠隔システムによって主治医と顔を合わせて診察を受けることができ、非常に利便性が高いということでした。

この度のゼミでは、医師や患者に有益な遠隔ビデオシステムをデモンストレーションしていただきました。先生は、この遠隔ビデオシステムが様々な分野で、よりたくさんの人々にとって役立つのではないかと考えていらっしゃいました。近い将来、様々な研究の分野に、このシステムが導入されるのではないかと切実に感じた時間でした。

文責:ウィメンズヘルス看護学分野 大学院生 武石 陽子
写真:看護アセスメント学分野 大学院生 包 薩日娜

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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