学際領域ゼミ

「幸せ」なスマート・エイジング社会の実現に向けて―さりげないセンシングの現状と未来―

2017.6.23 平成29年度第2回学際領域ゼミ

東北大学加齢医学研究所 所長/スマート・エイジング学際重点研究センター長
川島 隆太 先生

 川島先生は脳機能イメージ基礎研究の第一人者で、「脳トレ」で知られる世界的に有名な研究者です。今回は、「幸せなスマート・エイジング社会の実現に向けて―さりげないセンシングの現状と未来―」というテーマでお話頂きました。

川島隆太先生

川島 隆太 先生

 講義の始めに、スマートエイジングという考え方について説明して頂きました。従来、加齢はネガティブなもので、抗うべきものであるとされてきました。しかし、スマートエイジングの考え方は、加齢は成長であり、より賢くなれることであると捉えるというお話は、歳をとることに前向きになれる、心強い考え方だと感じました。

 続いて、認知症の問題に触れながら、川島先生が実際に開発に携わられたセンシングデバイスの紹介とその応用の可能性についてお話頂きました。認知症による経済的損失は大きく、認知症を防ぐ方法の解明は非常に重要な問題です。認知症は、遺伝要因と環境要因が組み合わさって発症していると考えられており、環境要因を調べるためには、日々の活動(運動量や、食行動など)を計測するセンシングデバイスの活用が有効であることを説明されました。

 従来のセンシングデバイスの欠点は、測定のためにわざわざ身につける必要があり、長続きしないことでした。川島先生は、この欠点を克服した「さりげない」計測が行えるセンシングデバイスを、株式会社JINSと開発されました。このセンシングデバイスはJINS MEMEといい、見かけは普通の眼鏡です。しかし、瞬きの回数や強度、体軸の動きを計測することにより、日常生活の集中度や疲労度といった精神状態や、歩行状態を記録できます。こういったさりげないセンシングデバイスの登場により、認知症を引き起こす環境要因の特定や、様々な疾患の早期発見につながることを期待しているとお話されました。

 授業の後半では、JINS MEMEのデモが行われ、センシングデバイスで何ができるかを実際に体験することができました。講義後の質疑応答では、受講者からセンシングデバイスの可能性について多くの質問が飛び出し、センシングデバイスに対する関心の高さが伺えました。

講義の様子 質疑応答の様子

[左] 講義の様子 / [右]質疑応答の様子

 私はこれまで、センシングデバイスについて、健康志向の人のための嗜好品という印象を持っていました。今回受講して、センシングデバイスは社会に役立つとても強力なツールであることを知り、さりげないセンシングデバイスの今後の活躍がとても楽しみに感じました。

文責:応用脳科学研究分野 齊藤 俊樹
撮影:人間脳科学研究分野 影山 徹哉

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

一覧へ戻る

pagetop