学際領域ゼミ

雄/男の子育てが当たり前の社会

2013.06.18 平成25年度第1回学際領域ゼミ

文学研究科 文化人類学分野 沼崎 一郎 先生

ゼミの様子

今回お話しして頂いた沼崎先生は、文化人類学者として人権、ジェンダーを主要なテーマとして研究しておられます。

そもそも、「文化人類学」とはどんな学問なのか。
先生によると、文化人類学とは、我々が普段当たり前と思っている社会の常識を、そうではない社会の実例を提示することで、当たり前を反省し、問題解決のヒントをそこから得ようとするものだということです。
歴史から教訓を学ぶように、他の社会から、より良い社会作りのためのヒントを得ることが重要で、そこに文化人類学の知識が役立っているということでした。

今回のゼミのテーマは雄(男)の子育てについてでした。

ゼミの様子

男性の子育て参加は社会的にもホットな話題であり、制度的にはまだまだ十分に保障されているとは言い難いのが現状です。また、子育ては女性がするべきものという固定観念が広く浸透してしまっているのも、この問題の解決を遅らせています。今回の講義では、そういった固定観念に一石を投じるために、いくつかの例が示されました。その1つとして紹介されたのが、アフリカのアカ族です。アカ族では男性も自然な形で子育てに参加しており、そうして育てられた子供は温和な性格を持つ傾向があるそうです。そしてその結果、社会的にも平和になっているということで、男性の子育て参加が子供の人格形成や社会的にいい方向に働いているというお話でした。また、我々の社会では、一般に父親と母親の役割は異なると考えられていますが、このアカ族では両者の役割がほとんど一致しているという点も大変興味深いものでした。

ゼミの様子

質疑応答では、アカ族の社会性がどのように形成されるのかについて議論されました。遺伝子的な関連について質問がありましたが、先生はそれを否定されておりました。アカ族は孤立した部族ではなく、その周りに複数の部族があり交流もあること、また、子育てという複雑な行動が、遺伝子で説明できるとは思えないというのが先生の主張でした。

全くの異分野の話ではありましたが、男性の子育てへの参加というホットな話題を文化人類学的なアプローチでわかりやすくお話し下さり、大変興味深いゼミでした。

ゼミの様子

免疫学分野・大学院生 長島 宏行

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