研究推進・研究倫理ゼミ

センダイウイルスに魅せられて

2013.09.06 平成25年度第3回研究推進・研究倫理ゼミ

神戸大学名誉教授、山形厚生病院長 本間 守男 先生

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神戸大学名誉教授、また山形厚生病院長である本間守男先生をお招きし、『センダイウイルスに魅せられて』という演題でご講演いただきました。

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1950年代、新生児肺炎をきっかけに東北大学で発見された『センダイウイルス』。
講演は、その赤血球凝集反応や溶血反応、細胞融合現象といった特性(宿主依存性修飾)の解説に始まりました。発育鶏卵感染のセンダイウイルス(Egg-Sendai)がもつ特性のうち、マウス感染させたセンダイウイルス(L-Sendai)では溶血能や細胞融合能などが見られなくなる。それは本間先生の研究の骨格となる現象であり、解説の中には、先生が「魅せられた」きっかけとなったL-Sendaiの細胞変性効果の写真もありました。

その後は、先生が発見された『トリプシンによるセンダイウイルスの活性化』について、多くのデータや図解をもとに研究の裏話を交えながらお話しいただきました。
具体的には、

  1. トリプシン処理によりL-Sendaiは感染性、溶血能、細胞融合能を回復することを発見
  2. トリプシンによる活性化の分子機構(F糖蛋白の開裂活性化)を解明
  3. センダイウイルスのモデル(表面にHANA、F(F1+F2)の二つの糖蛋白)を作成

など、研究内容はもちろんその過程も明確で、異分野の私でも理解しやすいものでした。

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上記1. については、最初の論文投稿でリジェクトされた経験があるそうです。その際のレフェリーによるコメントは、「そのような現象は信じられない」とのこと。その悔しさを「何としてもこの研究をパブリッシュしなければ」という情熱に変え、2年をかけてアクセプトに至ったそうです。私はその経験が先生の研究に対する熱意をさらに高めたのだと思い、信念を持って努力し続けることの重要性を改めて学びました。
今日のウイルス学、細胞生理学の礎を築かれた先生の、自身の経験に裏打ちされた熱のこもった講演は、大変刺激になりました。

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最後に、司会の加齢医学研究所長・佐竹正延教授が講演を締めくくられました。
「本間先生がお話しされたのは、1960年から70年代に発端がある研究。古典文は現代文に比べ、読解に努力を要する。しかし、それが、現代にも生きる古典の本質であろう。私達も、現在の自身の研究が将来どうなっているのかを見据え、50年後であっても、息吹を感じられるような研究をしていかなければ。」

自身の研究に対する姿勢を見つめ直すきっかけとなるゼミとなりました。

全体

 文責:画像情報学分野 大学院生 一関 雄輝
撮影:消化器病態学分野 大学院生 金 笑奕

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