研究推進・研究倫理ゼミ

臨床ゲノム研究

2013.09.19 平成25年度第4回研究推進・研究倫理ゼミ

株式会社スタージェン 会長/東京女子医科大学 客員教授 鎌谷 直之 先生

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ゲノム研究の第一人者である鎌谷直之先生は、研究好きが高じて会社を設立なされた、という経歴をお持ちです。
今回は、「臨床ゲノム研究」と題し、「遺伝学」という学問について、さらに、その実践例についてお話いただきました。

講師紹介

先生によれば、「遺伝学(genetics)」とは、遺伝(heredity)の科学ではなく、遺伝と多様性(variation)の科学であること、そして日本にはこの「Genetics」の概念が欠けている、とのことでした。
また、遺伝学研究に対するアプローチ方法が、これまでは生化学や分子生物学などを用いた個別的アプローチであったのが、近年、数学、情報学、統計学、遺伝学といった幅広い分野も併せた網羅的アプローチに変化していることも示されました。
「Genetics」の概念のもと、網羅的アプローチで生命を統合的に理解することが重要である、という先生のお話はとても共感できました。

講義の後半では、ゲノムワイド関連解析(GWAS)について、これまでの研究成果を例に説明していただきました。
GWASとは、一人当たり50万個以上の一塩基多型(SNP)を解析し、疾患感受性遺伝子を探索する研究手法で、今や臨床遺伝学研究において世界的に主流となりつつあります。

講義

遺伝学研究がこれからの医療にどのように役に立つのか。
先生は、具体的に以下の実例を挙げて丁寧に解説して下さいました。

  • ①疾患予測、疾患予防
  • ②公衆衛生的有用性
  • ③新薬の標的発見、新適応症発見への有用性
  • ④薬物反応性予測への有用性(個別化医療)
質疑re

これら①~④は医学研究を行う私たちにとって、どれも非常に関わりが深く、大変興味深い内容でした。その中でも、今後の遺伝学研究、特に今後のわが国の研究が発展するためには「生物の情報を数学的に把握する能力が必要である」と述べられ、情報(=データ+統計学)に基づいた情報解析、またそこから得られた結果の解釈、利活用の重要性を強く訴えておられたのが印象的でした。

今回、鎌谷先生より最先端のお話を伺えたことは大変貴重であり、非常に刺激的な時間でした。
今後の医療がどのように変化していくのか興味を抱き、自身はそこへどのように貢献していけるのかを改めて考える機会となりました。

文責:高次機能障害学分野 大学院生 川﨑 伊織
撮影:病理診断学分野 大学院生 櫻井 美奈子

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