風疹が妊婦に与える影響について

西郡医師
東北大学病院 産科・周産母子センター
講師 西郡 秀和

風疹とは

風疹とは、風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症です。潜伏期間は2〜3週間で、主な症状として発疹、発熱、リンパ節の腫れなどが認められます。風疹ウイルスは患者の唾液のしぶきなどによってほかの人にうつります。風疹は子どもの場合、通常はあまり重くならない病気ですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などの合併症をおこすことがあります。大人が感染した場合は、子どもに比べて発熱や発疹の期間が長く、また関節痛がひどくなることがあるため、仕事を一週間以上も休まなければならない場合があります。ただし、風疹ウイルスに感染しても明らかな症状がでることがない人が約15%いると考えられており、これを不顕性感染といいます。

先天性風疹症候群

風景

妊婦とくに、妊娠初期の女性が風疹にかかると、お腹の中の赤ちゃんが風疹ウイルスに感染してしまい、難聴、心疾患、白内障、緑内障、精神や身体の発達の遅れなどの障がいをもった赤ちゃんが生まれる頻度が高くなります。これらの障がいを先天性風疹症候群といいます。先天性風疹症候群がおこる頻度は、風疹にかかった妊娠の時期により違いがあります。先天性風疹症候群の頻度は妊娠週数が早いほど高く、妊娠4〜6週では100%、7〜12週では80%、13〜16週では45から50%、17〜20週では6%、20週以降では0%という報告があります。ただし不顕性感染でも、先天性風疹症候群は発生しますので注意が必要です。

風疹の予防

予防方法として、妊娠する前に女性はワクチン接種により風疹に対する免疫を獲得しておくこと、社会的には女性や男性を問わずワクチン接種を徹底し、風疹の流行を防いで妊婦が風疹ウイルスに感染しないようにすることが重要です。なぜなら患者が妊婦の近くにいた場合、風疹をうつしてしまい、その赤ちゃんが先天性風疹症候群となって生まれる可能性があるからです。自分と家族、そして周りの人々を風疹とその合併症から守り、生まれてくる赤ちゃんを先天性風疹症候群から守るためにも、これまで風疹の予防接種を受けたことがない場合は、可能な限り早く接種をうけることをお勧めします。ただし妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできません。

風景

男性と風疹の予防接種

特に男性の場合、これまで風疹予防接種を受けたことがない場合は、なるべく早く予防接種をうけることが大事です。平成23年度の感染症流行予測調査によると、30代から50代前半の男性の20%は風疹の免疫を持っていませんでした。20代の男性の10%は風疹の免疫を持っていませんでした。また、子どもの時など、すでに風疹にかかったとの記憶のある人達に血液検査を行ったところ、約半分は記憶違い、または風疹の症状に似た他の病気にかかっていたという調査結果もあります。このことから、風疹にかかったことが血液検査などで確かめられていない場合は信頼できません。大人が予防接種をうける場合は、最寄の保健所や、地域の医師会に問い合わせるとよいでしょう。

妊娠中の予防について

妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできません。したがって、血液検査で風疹に対する免疫がない、あるいは風疹に対する免疫力が低いと考えられる妊婦は、とくに妊娠初期では風疹にかかっている可能性のある人との接触は可能な限り避けてください。また、風疹にかかっても無症状の人がいます。家族の中にワクチン接種記録、または風疹の抗体検査などを行っていない方がいる場合、その方は至急風疹ワクチンの接種をうけるようにしてください。

未来の子どもたちを守るため、皆さまのご理解とご協力をお願いします。

引用・参考文献・関連リンク

一覧へ戻る

pagetop