2015年10月5日

Muse細胞がもたらす医療革新 ‐動物モデルにおいて脳梗塞で失われた機能の回復に成功‐

東北大学大学院医学系研究科の出澤 真理(でざわ まり)教授と冨永 悌二(とみなが ていじ)教授らのグループは、ヒト皮膚由来多能性幹細胞(Muse細胞)を用いて脳梗塞動物モデルの失われた神経機能の回復に成功しました。Muse細胞 は生体内に存在する自然の多能性幹細胞です。ヒト皮膚由来Muse細胞を脳梗塞のモデル動物(ラット)に移植したところ、梗塞部位に生着して自発的に神経に分化し、さらに大脳皮質から脊髄までの運動・知覚回路網を再構築しました。脳梗塞で失われた運動・知覚機能の回復は約3ヶ月後も維持され、腫瘍形成は見られませんでした。Muse細胞は自然の多能性幹細胞であり、遺伝子導入で多能性を持たせる必要が無いので腫瘍形成の可能性が極めて低いと考えられます。また今回の結果から移植前の神経への分化誘導も必要としないことが分かりました。したがって、成人皮膚・骨髄などからMuse細胞を採取し、細胞をそのまま投与するという簡潔な操作で治療を行うことが可能です。Muse細胞による治療は、脳梗塞に対して細胞移植による機能回復という根本治療を提供するのみならず、再生医療を特別な治療から一般的な治療へと変える革新を起こすと期待されます。
 本研究結果は、9月21日に米国学術誌Stem Cellsに掲載されました。本研究はNEDO機能代替プロジェクトの支援を受けて行われました。

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