2015年11月19日

妊娠中の脂質摂取が仔マウスの脳形成と情動に与える影響 ‐母親の偏った多価不飽和脂肪酸摂取は仔マウスの脳形成不全と過剰な不安を引き起こす‐

私達が摂取する油は脂肪酸という物質から構成されており、中でもオメガ 6 およびオメガ 3 とよばれる脂肪酸の摂取バランスが健康に対して重要であると言われています。しかし現代の 多くの国々ではオメガ 6 を豊富に含む大豆油などを摂り過ぎていることに加え、オメガ 3 を豊 富に含む魚介類などの摂取が減少しているため、オメガ 6 過多/オメガ 3 欠乏という食事様式 が広まっています。
東北大学大学院医学系研究科の大隅 典子(おおすみ のりこ)教授、酒寄 信幸(さかより のぶゆき)元研究員(現 福島県立医科大学)らは、妊娠マウスがオメガ6過多/オメガ3欠乏飼料を摂取すると、生まれてくる仔マウスの脳(大脳新皮質)の神経細胞の数が減少することを明らかにしました。その原因としてエポキシ代謝物とよばれる脂質が、脳を形成する材料となる細胞である神経幹細胞に作用し、神経細胞産生能を乱したことを報告しました。また、このような母マウスから生まれた仔マウスは、生後から標準的な飼料を投与しても成体になってから過剰な不安状態を示しました。以上から、胎生期における母体を介した脂質摂取が仔マウスの脳形成、さらにそれに伴う情動形成に重要な役割を果たしていることが分かりました。
本研究は、理化学研究所統合生命医科学研究センターの有田 誠(ありた まこと)チームリーダー、東京大学大学院薬学系研究科の新井 洋由(あらい ひろゆき)教授、東北大学大学院医学系研究科の片桐 秀樹(かたぎり ひでき)教授、サントリーウエルネス株式会社健康科学研究所の柴田 浩志(しばた ひろし)所長、Harvard Medical SchoolのJing X Kang教授、University of British ColumbiaのSheila M Innis教授らとの共同研究です。
本研究結果は、2015年11月19日0時(米国東部時間、日本時間11月19日14時)、米国科学誌Stem Cellsの電子版に掲載されました。

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