2017年2月13日

精子異常による男性不妊と環境由来化学物質の関連性を解明 ‐PCBばく露とヒト精子DNAメチル化異常との関係‐

精子と卵子が受精する際に、遺伝子の働きを制御する化学的修飾(DNAメチル化)がダイナミックに変動することが知られています。このようなDNA配列の変化を伴わない遺伝子発現制御はエピジェネティクスと呼ばれ、環境由来化学物質はヒト精子のエピジェネティクスに大きな影響を及ぼす可能性があると考えられています。実際、男性不妊症患者は世界的にも漸増傾向にあります。

東北大学大学院医学系研究科の有馬 隆博教授のグループは、同研究科の仲井 邦彦教授のグループと共同で、精子異常による男性不妊と環境由来化学物質の関連性を解明しました。ヒト不妊症患者の血中ポリ塩化ビフェニル(PCB)濃度と精液所見およびDNAメチル化異常との関連性を解析したところ、血中PCB濃度は、年齢の増加と伴に徐々に高くなり、精子数の低下を引き起こす可能性が示されました。また、精子DNAのメチル化の異常率とも関連していることが判明しました。さらに、メチル化異常を示す精子を用いた場合、異常のない精子と比べ、体外受精で妊娠率が減少していることを見出しました。この事実により、PCBにより影響を受けた精子のメチル化異常が、次世代の受精卵に伝達され影響を及ぼしている可能性が示唆されました。

本研究成果は、2017年2月10日(金)午前10時(英国時間、日本時間2月10日(金)19時)Scientific Reports誌(電子版)に掲載されました。

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