2017年2月27日

「腎性尿崩症の新たな発症メカニズムを発見‐胎児・乳児期の環境ストレスは腎性尿崩症を引き起こす‐」

 東北大学大学院医学系研究科の鈴木隆史講師(医化学分野)、山本雅之教授(医化学分野・東北メディカル・メガバンク機構 機構長)らは、腎臓の発生期における遺伝子発現の制御因子(転写因子と呼びます)Nrf2の過剰な活性化が腎性尿崩症を引き起こすことを発見しました。
 これまでの研究で、全身で常にNrf2を高レベルで発現する遺伝子改変マウスを作製すると、マウスは食道閉塞による母乳摂取不全のため生後間もなく死亡してしまうことがわかっていました。そこで今回、従来は生後すぐに死亡してしまっていた、全身で常にNrf2を高レベル発現するマウスにおいて、食道におけるNrf2発現だけを特異的に抑制して、その時点での死亡を回避したマウスを作出しました。そうしたところ、このマウスは期待通り成獣まで生存が可能になり、食道以外の全身でのNrf2高レベル発現の影響を調べることが可能になりました。
 本研究では、このように複数の作用点を持つ転写因子を欠失したマウスが最初の作用点で致死になってしまった際に、従来不可能であった次の作用点を発見する手法を新たに開発しました。この新たに作出したマウスをNEKOマウスと命名し、詳しく調べたところ、腎臓におけるKeap1欠失とそれが惹起するNrf2の過剰活性化が、腎性尿崩症を引き起こすことを発見しました。さらに、この腎性尿崩症の発症には腎臓の発生期におけるNrf2の過剰活性化が重要であることがわかりました。本研究の成果から、腎臓が形成される時期の過剰な環境ストレスへの暴露は腎性尿崩症を引き起こすリスクがあることが示唆されます。
 この成果は2017年2月24日(日本時間24日午後7時)以降に英国科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版で公開されました。

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