2017年8月25日

イヌのがん治療に有効な免疫チェックポイント阻害薬 (抗PD-L1抗体)の開発にはじめて成功

 イヌの死因の約3割は悪性腫瘍(がん)であるとされており,特に高齢犬ではその傾向が高いと考えられます。イヌの腫瘍に対しては現在,外科療法・放射線療法・化学療法の3大療法が主として用いられていますが,イヌの体への負担や副作用,がん種と療法との相性などの面で制限を受ける場合も多く,3大療法に加えて新たな治療戦略の開発が望まれています。近年ヒト医療では,ニボルマブ(オプジーボ:抗PD-1抗体)に代表される免疫チェックポイント阻害薬が悪性黒色腫をはじめとした多くのがん種において著効を示し,免疫療法が第4の治療戦略として確立しつつあります。
 北海道大学,東北大学及び扶桑薬品工業株式会社で構成する研究グループは,これまで免疫チェックポイント分子PD-1及びPD-L1を標的とした新規免疫療法の実用化に向け,イヌを対象とした臨床基礎研究を行ってきました。そこで,イヌの腫瘍治療に応用できる免疫チェックポイント阻害薬としてラット-イヌキメラ抗PD-L1抗体を開発し,難治性の悪性腫瘍に罹ったイヌに対する臨床応用研究を行った結果,悪性黒色腫と未分化肉腫に罹ったイヌの一部で,明らかな腫瘍の退縮効果が確認されました。また,悪性黒色腫では肺に転移した後の生存期間を延長する効果も示唆されました。本開発技術は,悪性黒色腫をはじめとしたイヌの難治性腫瘍の治療薬として期待できる成果と考えられます。

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