2018年1月4日

医学系研究科長新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。本年も皆様にとって稔り多い有意義な年となりますことを祈念申し上げます。

 さて、東北大学は昨年6月末に指定国立大学に指定され、新しい法律のもとに、より自由な発想企画で教育・研究・社会貢献に取り組みはじめています。研究面での四つの柱の一つは、未来型医療の開発となっています。

 東北大学が目指す未来型医療は、ヒトの多様性に立脚した医療、そして予防です。ヒトの多様性は、ゲノムの違い、生活習慣、そして環境の違いなどを含む膨大な広がりを有する情報です。この情報を活用することで病態を個人毎に精密に把握し、より適切な治療を選択する、さらには予防につなげることを目指しています。

 一口にゲノムの違いといっても、その中で疾患の発症や進展に寄与するものはごく一部と予想されています。現状では、膨大なゲノム多様性の中から医学的に重要なものを絞りこんでいくことなしには、ゲノム情報を有効に活用することはできないでしょう。一方、食事・栄養や運動などの生活習慣は、エピゲノム状態を変化させることでゲノム機能を変えることが明らかになりつつあります。したがって、ゲノムに加えエピゲノムの多様性と様々な疾患の関係を解明していくことも求められています。

 さらに、未来型医療の究極型はこのような情報に基づく予防となるでしょう。発症機構に立脚した予防法の開発は大きな課題です。また、ヒトが危険性を指摘され予防法を提示されたとき、適切な行動をおこすことができるか、これは決して単純な話ではありません。各自の行動に働きかける戦略を人文学系研究者、自治体や地域病院と協力して開発し発信することも必要になるでしょう。

 このように、未来型医療をつくっていくためには、分子から個体、そして社会の在り方まで、様々な課題を対象として研究を進める必要があります。本研究科にはゲノムやエピゲノム研究、疫学・コホート研究で世界をリードする研究者陣に加え、それぞれの分野で第一線の研究を進める100名を越える教授が多彩な領域で活躍しています。また、地域に密着する医学部として、地域医療機関と様々な連携を築いてまいりました。教授や若手研究者陣、そして学外の専門家が各自の強みを組み合わせ、研究科内外の共同研究を進めることで、より大きなインパクトを社会にもたらすことができると考えます。

 東北大学の学生と研究者の英知と創造力をより良い社会の実現へとつなげていくため、本年も様々な活動が成されることを希望しております。


東北大学大学院医学系研究科長・医学部長

五十嵐 和彦

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