活動内容

第3回脳科学GCOE若手フォーラム(07.12.21)

昨年12/21(金)に、第3回東北大学グローバルCOE若手フォーラムが、東北大学星陵キャンパス(医学部)にて開催されました。 

会場の様子
拠点リーダー挨拶











澤本伸克先生











 澤本伸克先生には、「パーキンソン病とドパミン神経伝達異常ー脳機能イメージングによる検討」というタイトルで講演を行っていただきました。澤本先生は現在、代表的な脳神経疾患であるパーキンソン病の認知速度低下(Cognitive Slowing)をターゲットとした、脳機能イメージングの研究を主にされています。パーキンソン病は、黒質から線条体へ投射するドパミン神経が変性する疾患です。寡動といった運動障害を呈しますが、話の受け答えに時間がかかる、といった反応の遅さも目立ちます。こうした反応の遅さが、寡動による影響なのか、あるいは独立した認知的側面を反映しているのかについてはこれまで明らかにされていませんでした。本フォーラムでは、パーキンソン病において運動障害だけでなく、それとは独立した認知速度低下をも呈することを、巧妙な実験デザインを用いて明らかにした研究に関する発表をしていただきました。さらにPET(Positoron Emission Tomography)、拡散強調画像(Diffusion Tensor Imaging)といった優れた画像解析技術を駆使し、パーキンソン病の認知速度低下に関係する脳領域の同定を行った研究についても発表されました。またこのようなパーキンソン病の症状が、これまで指摘されてきた線条体のドパミン欠乏だけでなく、ノルアドレナリンやアセチルコリンといった他系統の神経伝達物質の欠乏を反映している可能性を指摘しました。今回の内容は比較的私達の生活との結び付きが強く、神経科学をより身近に感じることができたのではないかと思います。澤本先生には、短い講演時間にもかかわらず他分野の研究者にも配慮して下さり、とても分かりやすく説明していただきました。また分かりやすいだけでなく、最新の研究成果や新しい知見も発表して下さいました。どうも有難うございました。<文責:齋藤>

守口善也先生











 守口善也先生には、「“こころをみる”ことに関する脳機能画像研究」と題して講演を行っていただきました。自己・他者の心を理解することは、臨床的にも非常に重要なことでありますが、この自己と他者の表象が共通項を持つことが最近知られはじめるようになってきました。そこで守口先生が考えられた仮説は「自分の事がわからないひとは、他人の事もわからないのではないか?」というものでした。この仮説を検証するために脳機能画像を用いて、自己の情動の同定・表象困難である「アレキシサイミア(失感情症)」の人々における脳活動の変化を、様々な他者理解のコンテクストで検証した、ということが今回のご講演の骨子でした。導入部では、昨年の流行語にもなったKY(空気が読めない)を話題に取り上げるなど身近な例と関連づけることで専門家以外の方々の関心をもぐいぐい引き込んでいただきました。講演の核の部分では、果たして、心の理論における内側前頭前野、共感におけるpain matrix、ミラーニューロン関連領域としての前運動野・頭頂葉などの脳活動の差異が、他者理解の様々な側面でのアレキシサイミアの脳活動と関連するかどうかについて豊富な脳機能画像のスライドを用いて論じられました。後半部分では、さらに他者理解の病態としての自閉症スペクトラムに関しても考察を広げていただき、まさに“社会脳”についての理解を深める機会を与えていただきました。<文責:渡辺>

忘年会の様子
忘年会の様子

忘年会の様子
忘年会の様子

 

 今回は年末の開催ということもあり、東北大学脳科学GCOEの忘年会もありました。拠点メンバーを始め、講演者の先生、学生、事務局員と多数の参加者で大盛況でした。

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