活動内容

第5回脳科学GCOE若手フォーラム(08.02.29)

2月29日金曜日に東北大学片平キャンパスさくらホールで、第5回東北大学グローバルCOE若手フォーラムが行われました。

川上良介先生
会場の様子

 
 川上先生には「マウス海馬神経路の非対称性」と題して講演を行っていただきました。ヒトにおける脳の左右差といえば一般的によく知られている概念ですが、それは他の動物種においても知られています。しかし、脳の左右差について分子レベル、神経回路レベルでの詳細な解析はあまりなされていません。また、それがどのように形成されるかについても未だ解明されていません。講演では、マウスにおいて記憶学習に重要な役割を果たす海馬シナプスのNMDA型グルタミン酸受容体ε2(NR2B)サブユニットが左右非対称に分布していることを、電気生理学的および免疫電顕による解析結果から説明して下さいました。また、この左右差がいつ、どのように形成されているかについて、現在行われている内蔵逆位を示す突然変異マウスを用いた解析についてお話していただきました。海馬におけるこの分子レベル・神経回路レベルでの左右差が、脳の機能としての左右差とどのように関係してくるのかは今だ未解明ではありますが、今後の進展が待たれる非常にエキサイティングな分野の講演でした。


佐々木拓哉先生
会場の様子

 
 佐々木先生には「多ニューロン活動を可視化して脳回路システムの作動様式を追及する」と題して講演を行って頂きました。脳は個性ある多彩なニューロンの集合体であり、このようなニューロンたちが巨大かつ緻密なネットワークを形成し、相互作用することによって脳機能は実現されます。しかし、その実態については未だ解明されていない部分が多くあります。多ニューロンの総体活動を記録するための適切な実験手法が確立されていないことが主な理由でした。講演では「多ニューロン画像法」という単一細胞レベルの解像度を保持したまま、数百個のニューロン活動の時空パターンを構築する手法及び海馬スライスに適用した研究結果を説明して下さいました。ニューロンのスパイク活動(活動電位)に伴って起こる細胞内カルシウム濃度の変動を検出し、神経回路の自発活動様式と刺激に対する応答反応を解析した結果は、従来の実験手法からは困難であったニューロンのネットワークパターンを明確にしており、新たな側面からの研究アプローチであることを実感でき、今後の研究展開が非常に楽しみな講演となりました。

交流会の様子
交流会の様子












Copyright © Tohoku Univ. All Rights Reserved.