活動内容

第1回脳科学GCOE「オープンラボ」(08.06.16)

 平成20年6月16日(月)に、第1回東北大学脳科学グローバルCOE「オープンラボ」が、生命科学研究科脳情報処理研究室を会場に開催されました。

概要説明風景
光学顕微鏡で脳標本を観察する

 
 オープンラボは、研究室を公開し、そこで行われている研究の一端を、参加者に体験して頂く、というもの。今回は、脳情報処理研究室で使われている、生理学的な実験手法などを、異なる研究室で研究している大学院生や研究員に対して、説明し、実際に体験してもらいました。
 今回紹介された研究手法は、以下の4つ。
1.光イメージングによる脳活動計測
2.ニューロン活動の電気生理学的測定
3.脳波測定
4.脳標本観察
 1の光イメージングは、in vitro での海馬スライス標本による計測と、in vivoでの ラットバレル野での計測、4の脳標本観察では、従来型の光学顕微鏡での観察のみならず、共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察も行われました。また、3の脳波測定では、参加者自らが被験者となり、ある種の感覚刺激への注意喚起に特徴的なP300というシグナルの測定が行われるなどしました。


実験風景

 参加したのは、脳神経科学を研究する大学院生・研究員、20名程度。概要説明1時間、4つの班に分かれての実験3時間、濃密な体験になりました。私どもグローバルCOEが「分子から社会まで」を名乗る通り、脳神経科学と言っても非常に広いものです。普段、遺伝子の研究をしていたり、疫学的な研究をしていたりする人、ましてやロボット研究の人にとっては、光イメージングや脳波測定は、話に聞いたり論文で読んだりしたことはあっても、実際に触れたことは一度もない手法です。「今日明日の研究にすぐに役立つわけではないが、隣の分野が何をしているのか、リアリティを持って体験できたのは有意義だ。」といった声が、参加者から聞かれました。


脳波測定実験風景

 このオープンラボは、参加者が馴染みのない研究手法に触れることができる、ということだけが目的ではありません。説明・紹介する側も、主に大学院生が担っています。必ずしも専門でない人を相手に、教え伝えることを通じて、自らが行っている研究とその手法の独自性や特徴を、改めて位置づけ認識することができます。また、参加する側にとっても、単なる方法だけでなく、研究における考え方や問題へのアプローチの仕方の違いを学ぶことにもなります。参加者からも、「最終的に、知りたいことは同じでも、これだけアプローチが違うことを学ぶ機会を得るのは、研究者としての幅を広げられ、非常に有意義。」という声があがりました。


 オープンラボは実施を重ねながらブラッシュアップし、近い将来に、参加対象を一般市民に広げることも計画されています。

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