活動内容

サイエンスカフェ(09.03.27)

 半ば咲いた桜も足踏みをしていた肌寒い春の日、東京・虎ノ門の文部科学省旧庁舎1F「情報ひろば ラウンジ」において、サイエンスカフェ「能楽と脳科学と」を開催しました。

 今回のサイエンスカフェは、文部科学省と日本学術会議が毎月行っているイベントのフレームをお借りして行ったもの。仙台で行っている脳カフェとは違い、30人程度の参加者のイベントです。

能楽『弱法師』・実演の様子 「撮影:山口宏子」

 イベントは、ゲストとしてお迎えした観世流能楽師 八田達弥氏と、グローバルCOE拠点リーダー大隅典子教授との対談形式。冒頭、八田氏からは、能楽「弱法師(よろぼし)」のクライマックスシーンの舞の実演がありました。天王寺の境内で、幼くして失明した信心深い物乞いの少年が、心に映る海の情景を現実のように想い賛嘆して舞うが、通行人にぶつかって悲惨な現実に引き戻される、というシーン。間近で見る緊張感溢れる実演に、参加者も、また、運営するスタッフまでもが暫し仕事を忘れて引き込まれてしまいました。


対談の様子

 実演を受けて行われた対話は、脳科学において、見えるということ、感動するということ、についての大隅教授からの簡単な解説も交えながら、600年に及ぶ伝統の中で能楽という芸能が作り上げてきたことを垣間見せてもらう、といったものになりました。
 30分程度取った質疑応答の時間も、必ずしも能楽愛好者が集まったわけでも、脳科学に造詣が深い方が集まったわけでもないのに、八田氏が「その質問を待っていました」と言うような、核心をついた議論も展開されました。


 また、当日、情報ひろば ラウンジの展示スペースを使って、能面・扇子・冠・能装束の展示や、脳科学グローバルCOEからは、脳神経科学の美しい画像などの展示も出展されました。また、当日急遽、八田氏から、能楽関係の展示物に関しての解説も行われ、早めに会場にいらした方にとっては、またとない機会となったことと思います。


八田達弥氏による展示解説
脳神経科学・ポスターパネル展示風景

 
 参加者の皆様にとって、能楽を、久しぶりに見てみたくなり、脳科学の一端に触れた思いを持って帰ることができるような、そんなイベントであったならば幸いです。

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