活動内容

「統合脳」5領域シンポジウム(09.11.01)

11月1日(日)東京・お台場でサイエンスアゴラ2009の一環として文部科学省科学研究費特定領域研究「統合脳」5領域シンポジウム「分かった脳、まだ分からない脳」が、東北大学脳科学グローバルCOEの後援で、開催されました。


 会場を埋めた100名の来場者の方々は、年齢層も20代前半の若い学生風の方から80代の方まで幅広い層。80代後半と思われる女性の方が、楽しみにしていたのよと言いながら席に着かれることなど、非常に印象的でした。
 冒頭で、丹治順先生から「統合脳」に関する研究内容とその成果について、分かりやすくかつ丁寧なお話をいただき、次いで、吉村由美子先生より「環境に応じて機能を変える脳のしくみ」のご講演をいただきました。ラットの大脳皮質一次視覚野を対象とした神経回路では、興奮性シナプスで結合している2/3層錐体細胞ペアがその周辺の興奮性細胞からの入力を高い頻度で共有するという、ユニークな特性をお話しいただき、さらに環境や視覚など生後の視覚体験を操作することで視覚野神経回路網の形成が受ける影響と、その機能的役割についても言及され、まさに「環境に応じて機能を変える脳」についてご講演いただきました。

坂井克之氏(東京大学准教授)「写真:瑞月」

 続いて、坂井克之先生より「脳が表現する情報とその流れ」のご講演をいただきました。既存のdomainに脳を「あてはめる」のではなく、「脳が表現する情報」をみて、そこから脳を探っていくという研究は、脳研究では当たり前のようで実はあまりなされていない方法です。今回はこのような方法で得た「脳が表現した情報」についてお話し頂きました。



円城塔氏(左)  内田麻理香氏(右)
泰羅雅登氏(日本大学教授)

 
 最後にご講演いただいたお二方に、作家の円城塔先生とサイエンスライターの内田麻理香先生も加わり、泰羅雅登先生司会のもと、ご講演への質問に対する答えも交えつつのパネルディスカッションが行われました。やや難しい最先端の脳科学のことを市民の目線で理解しやすい形にしていくものになったと考えております。

(医学系研究科高次機能障害学:小川七世、医学系研究科行動医学:相澤恵美子、医学系研究科神経生物学分野:有銘預世布の原稿をもとに構成)

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