活動内容

第3回東北大学脳科学GCOEオープンラボ(10.01.14)

去る2010年1月14日(木)、東北大学医学部(星陵キャンパス)にて、第3回目となるオープンラボが開催されました。
オープンラボの趣旨は、脳科学GCOEに所属する各研究室が実際の実験内容を公開し、互いの研究室に伝え合うことです。また、昨今益々進む学術領域のボーダーレス化という背景もあり、共同研究の実現や融合的な研究テーマの発見の契機にもなり得るイベントでもあります。今回の主催は社会脳科学グループの医学系研究科高次機能障害学分野(森研究室)で、テーマは、【機能的磁気共鳴画像法(functional MRI; fMRI)を用いたヒトの脳活動の計測方法】でした。

図01

 今回のオープンラボは【fMRIの原理】と題した講義が30分(担当:高次機能障害学助教・阿部)、実際のfMRI実験見学が1時間(担当:高次機能障害学助教・阿部、同助手・上野、実施協力:東北大学病院放射線診断科・麦倉俊司先生)というタイムスケジュールでした。
高次機能障害学の森教授から、fMRIを用いたヒトの脳活動の計測という手技を、どのように医療現場に活かしていくかを今回のオープンラボを通して考えて欲しい、という主旨の挨拶があり、その後実際の講義に入りました。講義はMRI、及びfMRIの原理に関する説明、撮像して得た画像データの解析方法、そして「どのような認知過程の脳内表象を見たいか」ということを考えて行う課題の組み立て方に関する内容でした。参加者は脳科学GCOEに所属する各研究室から数名ずつ、多岐に渡る分野の大学院生や研究員ということで、上記のような内容に明るい人にとっては知識の再確認になり、普段このような内容の研究に触れる機会の少ない人にとっては目新しい知識を得ることになったと思います。参加者は時折講義担当者に質問も交えつつ、一様に講義に聞き入っていました(図01)。


図02
図03

 講義の後は、東北大学病院地下MR検査室のSiemens 3T MRを使って、放射線診断科の各先生方のご協力の下、fMRI実験を行いました(図02)。実際に行った課題は【手指運動課題】でした。これは、参加者の中の代表者が実際にMRスキャナーの中に入った状態で、スキャナーの外にいる実験担当者からの指示に合わせて、両手の五指を交互に、順番に動かしていくという課題です(右手親指〜小指、左手親指〜小指の繰り返し)。MR操作を行うパソコンのモニターで、動かしている時の脳活動をリアルタイムでモニタリングでき、参加者でそれを見学しました(図03)。通常は言語を用いた課題を脳外科手術適応の患者様に対して施行し、切除対象部位に言語使用に重要な役割を担う部位が入っていないかどうかを確認するという検査を行っていることを説明して、今回のオープンラボの全過程としました。

 
 今回は残念ながら参加者の皆様にアンケートをお願いしていませんでしたが、少人数での開催でしたので、オープンラボの全過程を通じて担当者と参加者の皆様の間で質問や感想を交えた密接なコミュニケーションを取ることができたと思っています。今回のオープンラボが、異なる分野間の距離を埋めること、そしてつながりを模索することのいい契機になることを期待し、今後もこのようなイベントを盛り上げていきたいと思っています。

(文責:高次機能障害学分野・上野 彩)

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