活動内容

第5回脳カフェ「杜の都で脳を語るー脳はなぜ美に魅せられるのかー」(10.07.03)

脳科学に関する市民との交流イベント「脳カフェ」も、2010年7月3日の開催で5回目になりました。数多くの催しが開催される、せんだいメディアテークにおいても有数の、お客様の多い恒例のものに成長しつつあります。

会場の様子

 今回のゲストスピーカーは、2人。慶應義塾大学文学部准教授の川畑秀明氏と、雑誌「ブルータス」エディトリアルコーディネーターの鈴木芳雄氏。いずれも、美術系を専門とする方々で、全体テーマは、「脳はなぜ、美に魅せられるのか」。異分野との交流を積極的に進めてきた脳科学グローバルCOEとしても、挑戦的なテーマ設定です。




 川畑氏の講演は、「脳からわかるアート、アートからわかる脳」。心理学者である氏は、絵画を提示した際の脳の反応など、実験的な手法をもとに、脳が感じる美を解明しようと挑んでいます。「神経美学」と名付けられたアプローチの解説から始まり、多くの美術作品の紹介もしながらの40分の講演から、一見直接的な役に立たないような美がわたしたちの脳の根源的なところと結びついていることが浮かび上がってきました。


 鈴木氏の講演は、「鑑賞する脳、編集する脳」。人気雑誌を編集する豊富な経験から、大量の現代美術の作品紹介があり、また、美術作品を雑誌の誌面に載せる、という編集行為の中での氏が考えたこと、いわばその時の脳での作業が語られました。手頃な額縁に収まる美しいモノを描いていた伝統的な絵画と異なり、現代美術は、大きさや存在感などで、鑑賞者の意識を揺さぶります。



脳GCOEの大隅リーダーを交えたディスカッションでは、会場から頂いた質問も交えながら、テーマ「脳はなぜ、美に魅せられるのか」に迫る議論が展開されました。








 また、恒例となった展示では、若手研究者から、認知機能をテストする実験の体験などが供され、脳科学の実験の一旦を考えて頂きながらコミュニケーションする機会になりました。また、美しい顕微鏡写真などを集めた「脳のぞき」や、8月に行われる予定のサイエンスイラストレーションスクールin Sendaiからの出品「脳いらすと」なども、参加した方々の注目を集めていました。

 多くの御参加を得て、大きなイベントに成長しつつある脳カフェ。アンケートなどで頂いた参加者の御意見を参考にしながら、脳神経科学が市民と共に歩むための場になっていけるよう、今後も続けてまいります。

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