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講義・セミナー名
東北大学脳科学GCOEセミナーのお知らせ
開催日時
2010-02-10 17:00
開催場所
星陵キャンパス・5号館2階 201号室
概要

日時 2010年 2月10日(水)17:00-18:30

会場 星陵キャンパス・5号館2階 201号室

演者 大和雅之 博士
    東京女子医科大学先端生命医学研究所

演題 再生医療本格化のための細胞シート工学

 解熱剤等の対症療法的な薬物治療やガン治療等で見られる切除中心の外科治療とは異なり、根治治療を可能にすることが期待されている再生医療が、近年大きな注目を集めている。再生医療は、幹細胞生物学と培養系で組織構造を再構築する組織工学の近年の大きな進展により、すでに一部の領域ではヒト臨床応用が始まっている。本セミナーでは、我々が体系的に開発に取り組んできた次世代組織工学技術である細胞シート工学とその成果を紹介したい。たとえば我々は、角膜移植が必要な角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的として、角膜上皮幹細胞が局在化する角膜輪部上皮から単離した角膜上皮幹細胞を我々が開発した温度応答性培養皿上で培養した後に移植可能な培養角膜上皮細胞シートとして回収し移植に供している(1)。十分な動物実験の後に倫理委員会の承認を得て、2003年から大阪大学医学部眼科でヒト臨床を開始している(西田幸二先生らとの共同研究)。またスティーブンス・ジョンソン症候群や眼類天疱瘡などの重症例では他己由来細胞を高頻度で拒絶するため、自己口腔粘膜上皮細胞を用いて作製した上皮細胞シートを用いた臨床にも成功している(2)。これら上皮細胞シートは容易に角膜実質に生着し、縫合なしの移植が可能である。この他、2007年より重症心不全治療目的とした培養心筋細胞シート移植(澤芳樹先生らとの共同研究)(3)を、2008年よりガン切除後の人工食道潰瘍治療のための経内視鏡的細胞シート移植術の臨床研究(山本雅一先生、大木岳志先生らとの共同研究)(4)を開始した。この他、前臨床研究レベルにある最新の成果を紹介する。

参考文献
(1) Nishida et al., Transplantation, 77: 379-85, 2004.
(2) Nishida et al., N Engl J Med., 351: 1187-96, 2004.
(3) Hata et al. ,J Thorac Cardiovasc Surg., 132: 918-24, 2006.
(4) Ohki et al., Gut., 55:1704-10, 2006.

連絡先:形態形成解析分野・大隅典子 内線8203

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