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東北大学脳科学GCOEセミナーのお知らせ
開催日時
2011-02-02 16:30
開催場所
星陵キャンパス・5号館2階 201号室
概要

東北大学脳科学GCOEセミナーを開催いたします。

■日時 2011年2月2日(水)16:30〜18:00
■会場 星陵キャンパス・5号館2階 201号室
■演者 影山龍一郎 博士
京都大学ウイルス研究所
    増殖制御学分野 教授
■演題 成体脳のニューロン新生と神経幹細胞

成体脳のニューロンは一般に再生しないが、例外として側脳室の上
衣下層および海馬歯状回の顆粒細胞下層の2か所でニューロン
新生が起こる。前者は嗅球のニューロンに、後者は歯状回のニュー
ロンに分化する。これらのニューロンは、外部刺激に対する弁別、
記憶、学習に関わることが示唆されているが、機能については多く
の点が未だ不明である。我々は、ニューロン新生を特異的に阻害す
る遺伝子改変マウスを作製し、成体脳ニューロン新生の意義を探っ
た。その結果、ニューロン新生を阻害すると嗅球の顆粒細胞数が顕
著に減少すること、臭いの識別や記憶には明らかな異常は見られな
いが、性行動等に異常が見られることがわかった。また、海馬依存
性の空間記憶の獲得・維持も障害された。したがって、成体脳にお
いて神経幹細胞からニューロンが新生することの重要性が明らかに
なった。次に、成体脳の神経幹細胞の維持に関わる分子機構を解析
したところ、胎児脳の神経幹細胞の形成・維持に必須である
Notchシグナル系分子Hes1やHes5が成体脳神経幹細胞に
も強く発現していた。さらに、Notchシグナル系を抑制する
と、一時的にニューロン新生が増加するが、3ヶ月以内に神経
幹細胞が枯渇してニューロン新生が起こらなくなった。したがっ
て、Notchシグナルは成体脳神経幹細胞の維持とニューロン新
生の継続に必須な役割をもつことが明らかになった。Notchシ
グナルを操作することによって、内在性神経幹細胞の活性化が可能
になり、脳疾患の治療に貢献できるかもしれない。

 参考文献
Essential roles of Notch signaling in maintenance of neural stem cells
in developing and adult brains., Imayoshi I, Sakamoto M, Yamaguchi M,
Mori K, Kageyama R. J Neurosci. 3;30(9):3489-98, 2010.

Roles of continuous neurogenesis in the structural and functional
integrity of the adult forebrain., Imayoshi I, Sakamoto M, Ohtsuka T,
Takao K, Miyakawa T, Yamaguchi M, Mori K, Ikeda T, Itohara S, Kageyama
R. Nat Neurosci. 11(10):1153-61, 2008.

連絡先:形態形成解析分野・大隅典子 内線8203

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