老年医学
Geriatrics and Gerontology
放射線医学・バイオイメージング
認知症克服のプロセスを考える~発症前診断と根本治療戦略の構築~
医科学専攻
- 博士課程
教員構成

荒井 啓行教授
ARAI, Hiroyuki Professor, M.D. Ph.D.
TEL:022-717-7182
E-Mail:hiroyuki.arai.b5*tohoku.ac.jp
(「*」を「@」に変換してください)
この分野の研究テーマ
- 認知症におけるアミロイド・タウ分子イメージング研究
- 認知症における血液・脳脊髄液バイオマーカー開発
研究キーワード
アルツハイマー病, 病理像の画像化, 発症前診断と先制医療, 災害老年医療, 高齢者診療技法研究
技術キーワード
PET, 画像プローブの開発, バイオマーカー開発, 疫学研究, ICTによる服薬向上
分野の紹介
1)分子イメージング研究 超高齢社会を迎えた日本では、加齢を強いリスクファクターとした認知症やガンの有病率が高まる。現在500万人とされる認知症患者数は2025年には700万人に達すると予想されている。アルツハイマー病をはじめとする認知症では、臨床症状出現の20~30年前から老人斑や神経原線維変化など様々な病理変化が脳内で潜行すると考えられている。この潜在的変化をバイオマーカーを用いて早期に検出できれば、認知症の発症前診断と予防や先制医療を可能にできると想定される。老年医学分野では1995年からアルツハイマー病脳に蓄積するアミロイドやタウを実臨床下で検出するバイオマーカーの開発を進め、世界有数の研究チームに成長した。 特に、PETを用いての分子イメージングでは、[18F]THK-5351タウプローブの開発に成功し、[11C]PIBアミロイドイメージングと併用することによってアミロイドとタウの蓄積を同時に追跡することが可能となった。また、近未来におけるタウ凝集阻害薬や抗タウ抗体をもちいた先制医療におけるコンパニオン診断薬になることも期待されている。
2)体液バイオマーカー開発研究 血漿やCSFのMicroRNAの発現パターンがアルツハイマー病において大きく異なっていることが見出された。また、CSFのトランスフェリン糖鎖修飾が正常圧水頭症において特有な変化を示した。


主な論文
- 1.Arai H, et al. Geriatric Medicine, Japanese Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative and Biomarker Development. Tohoku J. Exp. Med. 221:87-95, 2010
- Suzuki M et al. Shelter acquired pneumonia after a catastrophic earthquake in Japan. J. Am. Geriatr. Soc. 59:1968-1969, 2011
- Futakawa S et al. A unique N-glycan on human transferrin in CSF: a possible biomarker for iNPH. Neurobiol Aging. 33:1807-1815, 2012
- Kiko T et al. MicroRNAs in Plasma and Cerebrospinal Fluid as Potential Markers for Alzheimer's Disease. J Alzheimers Dis. 39:253-259, 2014
- Okamura N et al. Tau PET Imaging in Alzheimer's Disease. Curr Neurol Neurosci Rep. Nov;14(11):500. doi: 10.1007/s11910-014-0500-6. 2014
OB・OGの主な進路
大学教授、医療系研究所勤務、地域基幹病院勤務医、クリニック開院、米国医科大学准教授
担当教員より進学志望者へのメッセージ
今後、国家戦略として認知症研究の重要性は益々高まります。タウプローブであるTHK化合物は、本学発特許を企業にライセンスアウトを可能にした貴重な産学連携成果です。