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研究推進・研究倫理ゼミ

平成28年第3回研究推進・研究倫理ゼミ
北里大学大学院医療系研究科臨床遺伝医学講座教授
高田 史男 先生

今回のゼミでは、北里大学大学院医療系研究科臨床遺伝医学の高田史男先生に『「遺伝子・健康・社会」にまつわる諸問題2』というタイトルで、ご講演をして頂きました。

遺伝子解析技術の進歩

次世代シークエンサーの開発により、遺伝子解析技術は大きな進歩を遂げており、がん・喘息・アトピー・アレルギー・高血圧・動脈硬化・糖尿病などの病気は遺伝的要因が関与していることが明らかになってきています。このような技術進歩により、個人に適切な診療(パーソナルゲノム医療)が可能になると考えられているとのことでした。

遺伝医療とは

続いて、遺伝医療についてお話をして頂きました。遺伝医療とは「乗り越えなければならないハードルを乗り越えるお手伝いをする医療」であり、遺伝情報における誤解や偏見の払拭、苦悩の軽減を目的としています。例えば1人目の子供に何らかの遺伝的障害がある場合、夫婦には2人目ももしかしたら同じ障害を持って生まれてきてしまうのではないかという不安(ハードル)が生じてしまうが、その際に遺伝子検査を行うメリット・デメリット、さらには将来起こりうる事、治療法や予防法があるのかなど詳しく説明する遺伝カウンセリングを施すことで不安というハードルを乗り越えるお手伝いをしているのだそうです。遺伝情報とは本人だけでなく、家族にも関わる非常にデリケートな問題であることを再認識させられ、非常に難しい問題に取り組んでおられるのだなと感じました。

遺伝子検査における課題と取り組み

遺伝子検査ビジネスにおける倫理的問題についてもお話を頂き、遺伝子検査は適切な発展を遂げれば医療に大いに役立つ技術であるが、現状ではビジネス優先で倫理的な問題が多くあり、国民に誤解を与えかねないことを危惧しているとのことでした。今後は医療においてもビジネスにおいても、検査の妥当性や有用性、倫理問題などを考慮して発展させなければならない、また世界でも遅れをとっている遺伝教育を初等中等教育で学ばせることで、遺伝による恐怖や不安を軽減させたいと働きかけているとのことでした。遺伝医療おける問題に積極的に取り組んでおられる先生の熱意に非常に感銘を受けました。

最後に先生から一言。留学をして、自分の視野を広げて下さい。
素晴らしいご講演ありがとうございました。

文責:運動学分野 大学院生 長名 シオン
撮影:運動学分野 大学院生 杉山 将太

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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