東北大学大学院医学系研究科・医学部

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脳機能を理解し、
てんかんという疾患や
社会問題を解決することに
少しでも興味があれば
研究室に足を運んでください

インタビュー
障害科学専攻
てんかん学分野 助手
石田 誠
Makoto Ishida
2020.06.04

石田 誠

「脳波」や「脳磁図」を用いて脳機能評価を

●研究の概要を教えてください

てんかんは、脳の一部が異常に興奮して生じる「てんかん発作」をくり返す疾患です。脳の神経細胞が活動すると、電流が発生するため、この電流を調べることで脳の働きを調べることができます。私は、脳の電流を電圧として測定する「脳波」や、磁場として測定する「脳磁図」という検査法を用いて、てんかん患者の脳機能評価を主なテーマとして研究を行っています。また、てんかんを患者さんの中には、発作のない時でも継続する症状や悩みを持っている方も多く、記憶障害や抑うつ症状に悩む方、薬の副作用に悩む方、運転免許や仕事で悩む方、妊娠や出産に悩む方、周囲の偏見に悩む方など、さまざまな問題があります。このようなてんかん患者さんの悩みを解決するため、てんかん学分野ではてんかんという疾患の医学的問題だけでなく、その周辺にある社会的問題にも取り組んで研究を行っています。
学会参加も積極的に行っており、国内だけでなく国際学会でも研究発表を行っています。私も修士課程・博士課程どちらにおいても国際学会で研究発表を行いました。

●研究室はどのような雰囲気ですか?

いい意味で、敷居の低いところかなと思います。てんかん学分野では、医局の会議室を「Cafe」と称し、オープンな環境にて研究を行っています。コーヒーサーバーも設置されており、研究に励みながらも一息つけるような環境魅力の一つです。また、中里教授をはじめ、スタッフ皆気さくです。私自身、院生として所属していた際には、研究に関してだけでなく、いろいろな相談に乗ってもらったこともありました。もちろん研究に関しては真剣です。てんかん専門医のスタッフの指導をもとに、多様な角度から研究を行えるので、選択肢が幅広く、自分がどのような研究を行いたいのかという相談もしやすい環境だと思います。てんかんで困っている方を救いたいという信念が基盤にありますので、てんかんに対する偏見をなくすための啓発活動などにも積極的に取り組んでいます。

てんかんの患者さんにとって、脳機能を解明することが救いになることも

●学生にどのようなことを期待しているかなども含め、進学希望者へのメッセージをお願いします

てんかんは、有病率約1%の疾患で、日本だけでも患者数が100万人を超えるありふれた疾患です。家族や友人などにもてんかんをもった方がいて、そこから興味・関心をもち、てんかんに関する研究を始めたという方もいます。また、てんかんの患者さんにとって、脳機能を解明することが救いになることも多くあります。脳という複雑な機能をもった臓器に少しでも関心がある方、てんかんという疾患に関心がある方、てんかんで困っている人の助けになりたい方など、少しでもてんかん・脳機能に興味があればぜひ一度当医局に足を運んでみてください。

●修了後はどのような進路がありますか?また、修了生はどのように活躍していますか?

修士課程(博士前期2年課程)修了後は、就職・進学に別れます。就職に関してですが、てんかん学分野の修士課程の卒業生は臨床検査技師が多いです。進学と同時、もしくは進学後に東北大学病院生理検査センターに就職し、卒業後も同センターにて勤務を続けている方が最も多いですが、卒業後に他県の病院に転職した方もいます。また、東北大学教育学部卒業後にてんかん学分野で修士を取得した方もおり、その後はてんかん学分野のスタッフとして活躍している方、他県の病院に就職された方がいます。進学に関しては、てんかん学分野の障害科学専攻の博士課程(博士後期3年課程)もしくは医科学専攻の博士課程(4年)がこれまでの進学先の例となります。

●病院や企業に勤務しながらの修学は可能でしょうか?

可能です。私自身も修士課程に進学すると同時に、東北大学病院生理検査センターに入職し、臨床検査技士として勤務しながら研究を行っておりました。業務においてもてんかんをもつ患者さんの脳波検査を担当することもあり、働いていて得た知識がそのまま研究に活かされることも多くありました。また、臨床で疑問に思ったことが研究のテーマにつながることもあります。講義の受講など、業務との兼ね合いを考えながらではありましたが、大学院進学に理解のある職場でしたので、大きな負担はありませんでした。また、一般企業に就職した後に入学し実際に学位を取得された先輩もいました。在学年数の延長や、講義のウェブ上受講も可能ですので勤務しながらの修学は可能だと思います。

多職種、他分野と共同で研究を行える体制

●東北大学の良いところは?

「てんかん学分野」は、日本において東北大学で初めて設立されました。このように新しいものを拒絶せずに積極的に取り組んでいく姿勢というのは東北大の魅力かと思います。また、てんかん学分野ではあらゆる診療科と連携しつつ、医師や看護師のみならず、臨床検査技師、薬剤師、臨床心理士、言語療法士、ソーシャルワーカなどの多職種チームでてんかんの研究を行っています。さらには医学研究の専門家はもちろん、理工学、教育・心理学など、共同研究分野は広く多彩です。このように、ひとつの分野に留まらず、さまざまな職種・分野のスペシャリストと共同で研究を行える体制がとれるという点に関しても、東北大で研究を行う良いところだと感じています。

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一つイベントの紹介を。東北大学には、医学部教室委員会という組織がありまして、年ごとにスポーツ大会が開催されます。野球、テニス、フットサル、バトミントン、バスケットボール、バレーボール、ゴルフ、駅伝、卓球、自転車の10競技があり、私もバスケットボールをやっていたため参加していました。いろいろな診療科の教室委員会の方が参加されるため、交流の場の一つとなっています。院生として研究することがメインにはなりますが、このようなイベントにも参加できます。運動不足の解消になるので、一つの楽しみです。

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PROFILE
障害科学専攻
てんかん学分野 助手
石田 誠
Makoto Ishida

2013年3月に東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻を卒業。2014年4月より東北大学病院生理検査センターにて臨床検査技師として勤務を始めると同時に、東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻てんかん学分野の修士課程に進学した。修士課程修了後、てんかん学分野の博士課程に進学し医学博士を修得。現在は、東北大学病院てんかん科の助手として、てんかんの臨床・研究に従事している。

●関連リンク

てんかん学分野

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