東北大学大学院医学系研究科・医学部

大学院説明会
特設ウェブサイト

病理学を追求しつづけ
研究者として医学に貢献していきたい

インタビュー
保健学専攻
病理検査学分野 在校生
山口 美桜
Mio Yamaguchi
学年:博士課程1年
出身地:山形県
2020.06.04

山口 美桜

研究の楽しさと魅力、醍醐味を実感

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

純粋に、実験や研究が楽しいと感じたことが1番の理由です。入学した頃から漠然と研究に興味は持っておりましたが、学部4年生の4月から11月にかけて病理検査学分野で卒業研究に取り組んだことが、研究の楽しさを知るきっかけとなりました。研究室に配属され、自分が興味を持っていた病理学に焦点を当てて深く学べること、そして何より、自分たちで考え、自分たちの手で新たな事象を明らかにしていくことは、とても新鮮で魅力的でした。地道に黙々と行う作業が好きという点でも、自身の性格に合っていたのかもしれません。また、研究者は直接患者さんを治療する職業ではありませんが、その発見は世界中の多くの人々に希望を与え、これからの医学に劇的な変化をもたらす可能性を秘めています。これも、研究の大きな魅力だと考えています。当時の研究テーマについてさらに学びを深めたいという思いから修士課程に進学し、修士課程を経て、さらに研究の道に挑戦したい思いが強くなり、博士課程への進学を決めました。

●進学してみて、どうでしたか?

とても充実した研究生活を送っています。多くの場合、初めは先生方が提示してくださった研究テーマのもと実験を行っていきます。実験の手技に慣れるまで時間がかかりますし、知識も足りず、卒業研究を始めた当初は、実験方針については先生方のご助言に頼りきりでした。ご助言をいただきつつ徐々に自分自身で研究の方向性を検討できるようになり、新たな研究テーマを模索するようになっていき、少しずつ研究に主体性を発揮できたことで、より研究が楽しくなりました。また、論文という形で自分たちの新たな発見が世界に発信されることの、何にも代えがたい達成感を知ることが出来ました。何かに興味を持ち、解決策を導き、新しいことを見つけ出すという研究の醍醐味は、大学院に進学し、研究活動を深めていったからこそ知ることが出来たと思います。また、進学したことで学会発表の場が増えました。私はがんの基礎研究を行っていますが、臨床で働く方々や幅広い分野の方々からご指摘をいただくことは、行っている研究テーマを深めるためにも、自身の視野を広げるためにも、とても良い機会となっております。また、同年代の研究者の方々の発表を聴いたり、賞をいただける機会もあり、モチベーションも刺激されます。

がん研究と組織を用いた病理組織学的解析に興味

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えてください

卒業研究から修士課程の3年間は、「腫瘍随伴マクロファージの乳がん促進作用におけるアンドロゲンの役割」というテーマで研究を行ってきました。当分野は、病理組織学的および分子生物学的アプローチの双方を用いて、乳がんと性ホルモンについて精力的に研究を行っています。乳がんは女性ホルモンであるエストロゲン依存性に増殖することが広く知られていますが、一方で、乳がん組織においてエストロゲンのみならず男性ホルモンであるアンドロゲンが合成されることがわかっております。乳がんのアンドロゲン作用について様々な研究が行われてきましたが、臨床応用に展開するには、未だ不明な点も多いのが現状です。また、乳がん組織には乳がん細胞の他、間質にさまざまな細胞が存在します。そこで本研究では、アンドロゲンが乳がん細胞のみならず間質細胞に作用する可能性に着目し、がん微小環境を構成する細胞群を包括的に捉えながら乳がんにおけるアンドロゲンの作用を明らかにすることを目指しています。これまでに、乳がんに浸潤しているマクロファージがアンドロゲンの作用を受け、乳がんの悪性化を促進する可能性を明らかにしました。がん研究に興味があったことと、実際の組織を用いた病理組織学的解析に興味があったことから、当分野に興味を持ちました。

指導教員、周りの仲間たちに助けられて

●研究室の雰囲気はどうですか?

私の所属する病理検査学分野では、楽しくメリハリのある、密度の濃い時間を過ごさせていただいています。研究活動というのは上手くいくことばかりではなく、行き詰まることも多々ありますが、いつも親身になってご指導くださる先生方や、周りの仲間たちに助けられ、楽しくのびのびと研究させていただいております。先生に気軽に相談しやすい環境にあることは、研究を進める上で本当にありがたいことだと感じています。また、抄読会や研究報告では活発に議論が行われ、幅広い知識を取り入れ、学びを深める場となっております。一方で、イベントごとも豊富です。勿論現在は自粛中ですが、普段は新たなメンバーの歓迎会や送別会、納涼会や忘年会のほか、誕生日をみんなでお祝いしたり、クリスマス会をしてみたりと、和気あいあいと仲良く過ごしています。大学院での生活は学部生の頃とは全く異なります。講義もありますが、基本的に研究室で過ごす時間が殆どで、研究室の中の繋がりが非常に密接です。研究室見学のほか、その研究室の先輩に話を聞いてみたり、ホームページ見ることで、色々な視点から研究室ごとの雰囲気を覗いてみるのも良いかもしれません。

世界最高水準の充実した環境

●東北大学の良いところは?

東北大学は、建学以来の伝統である三大理念の1つとして「研究第一主義」を掲げているように、非常に研究活動が活発です。世界最高水準とも言える充実した環境で、互いに切磋琢磨しながら研究をさせていただけることは、本当にありがたいことだと思っております。研究に関して言えば、グローバル萩博士学生奨学金など、博士課程の学生への支援が充実していることも魅力の1つだと思います。また、仙台という土地柄も魅力的です。大学に進学し仙台で一人暮らしを始めて7年目になりますが、気候は穏やかで、交通網も整っており、とても住みやすい土地だと感じています。

自分の力で考える主体性を養って

●今後の目標や抱負を教えてください

医学は日々進歩します。常に新たな知見にアンテナを張り、自身の研究のフィールドである基礎医学のみならず臨床医学の現状、問題点などを把握することで、治療標的や検査法としてより現実的な、新たな発見を目指していきたいです。また、博士課程に進学し、今まで以上に主体性を持って研究に取り組むことが求められます。まだまだ圧倒的に知識不足を痛感することが多く、自身の専門分野についての知識、そして同時に専門外のより幅広い知識の双方について学びを深め、自分の力で考える主体性を養っていかなければなりません。
研究活動は、もちろん自分自身の努力は必要不可欠ですが、先生方や周りの方々に日々多くの場面で支えられて成り立っています。いつも親身になってご指導くださる先生方や、ご助言をくださる周りの方々、進学を支えてくれた家族など、本当に多くの人々の支えのもとに今があります。常に感謝の気持ちを忘れずに、微力ながらもこれからの医学に貢献できるよう、謙虚に、そして貪欲に、今後もより一層研究活動に励んでいきたいと思います。

mylife

自分の好きなことをしてのびのびと過ごしています

とにかくインドア派なので、実験をしない休日はひたすら家にこもって1日中まったりして過ごすことがほとんどです。本を読んだりテレビや映画、動画サイトを見たり、お昼寝したり、自分の好きなことをしてのびのびと過ごしています。食べることも大好きで、学部生時代にバイトをさせていただいていたスープカリーSHAKAさんのカレーは今でも大好きです。スープのベースや具材、辛さ、トッピングなどバリエーションは無限大なので、ぜひ色々な組み合わせを楽しんでみてください。デリバリーやテイクアウトも可能なので、お家でも楽しめるという点もおすすめです。

写真1

PROFILE
保健学専攻
病理検査学分野 在校生
山口 美桜
Mio Yamaguchi

2014年3月 山形県立米沢興譲館高等学校を卒業
2014年4月 東北大学医学部保健学科看護学専攻へ入学
2015年4月 検査技術科学専攻へ転専攻
2018年3月 東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻を卒業
2018年4月 東北大学大学院医学系研究科病理検査学分野 修士課程へ進学
2020年4月 同学 博士課程へ進学