東北大学大学院医学系研究科・医学部

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修士課程でとことん研究と向き合いながら
自分の価値観を問い直し将来を見据え
納得して選んだ博士課程への進学

インタビュー
公衆衛生学専攻
個別予防・疫学分野 卒業生
髙瀬 雅仁
Masato Takase
修了年度:2021年度
修了学位:公衆衛生学修士(MPH)
現在:東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程1年
2021.05.12

髙瀬 雅仁

多様な角度で問題を捉え、議論し、考えを深められる大学院

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

私は教育学部(体育学)の出身で、学部時代の研究室で児童生徒の体格と体力の関連について研究を行う中で、成人の体格と健康との関連について興味を持ちました。大学院進学を考えた時、当時研究指導をしていただいた教授に医学系研究科への進学を勧められました。研究室訪問をした際に、後に進学することになる個別化予防・疫学分野の寳澤篤教授から東北大学メディカル・メガバンク機構地域住民コホート調査では体組成の測定を行っており、それらと健康との関連について調査できるというお話を聞き、受験を決めました。

●進学してみて、どうでしたか?

論文の収集方法やまとめ方、使用するツール、英語論文執筆についてのセミナーが開かれ、研究が行いやすい環境でした。公衆衛生学専攻ではさまざまなバックグラウンドの方々がいるため、多様な視点から問題を捉え議論することができ、大変勉強になりました。また、多くの先生からサポートをいただきながら自らの研究について深く考えることができます。学会で発表する機会も多く、自分の研究を発信し、他の大学の先生方とも議論をする経験も積めます。先生方からいただくアドバイスを基に自分の研究についてとことん考える時間は苦しくもありますが、非常に充実した何にも代えられない経験になりました。

BMIでは見えない身体組成と生活習慣病の関連を探る研究

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

修士課程では体組成とヘモグロビンA1cとの関連について研究を行いました。
体格を表す指標としてBMIが用いられていますが、BMIにより肥満と判定されていなくても実は脂肪が多かったり、肥満と判定されていても筋肉が多かったりという身体組成は分かりません。
一般的に、脂肪が多ければ生活習慣病などの疾病リスクが高く、筋肉が多いほど疾病にかかりにくいと思われています。しかし、体組成と疾病の関連を報告した研究は限られているのが現状です。
身体組成についてはいくつかの区分モデルがありますが、健康科学の分野では主に体脂肪と体脂肪以外の組織(除脂肪)の2つに区分するモデルが用いられています。
体脂肪はインスリン抵抗性を惹起(じゃっき)し、血糖値を上昇させます。一方、身体から脂肪を除いた除脂肪は主に筋肉で構成されており、筋肉は糖を取り込み、血糖値をコントロールする役割を担っています。
そこで、脂肪が多く除脂肪が多いという体格や脂肪が少なく除脂肪が多い体格などのような体組成の違いにより、血糖コントロールの指標として用いられているヘモグロビンA1cの値も異なるのではないかと考え、研究に取り組みました。

教科書では得られない考え方や視点を得ながら研究に没頭

●研究室の雰囲気はどうでしたか?

私が所属する研究室では定期的に勉強会が行われます。研究員が集まり研究の進捗(しんちょく)状況について発表を行い、先生方からのアドバイスを基におのおの研究を深めています。自分では気が付かなった視点で新たに研究を見つめ直す機会であり、充実した時間となっています。また、十分なスペースや資料、設備があり、研究に没頭できる環境が整っています。

●東北大学の良いところは?

東北大学は「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げており、研究しやすい環境が整っているだけでなく、社会人の院生やさまざまなバックグラウンドの方々がいるため、いろいろな視点から物事を捉えることができます。国際的なフィールドで研究業績を積んでいる先生方から直接指導を受けることもでき、教科書では手に入れられない考え方や視点を得られるのが非常に大きなメリットだと思います。

自分にとって大切な「面白い」を追求し、社会に役立つ成果を

●現在のお仕事について教えてください。また、大学院時代のご経験はどのように活かされていますか?

修士課程卒業後、博士課程へ進学しました。修士課程入学直後はキャリア形成について考えておらず、博士課程に進学し研究を続けていきたいかという問いにも明確な答えを出せずにいました。しかし、修士論文をまとめていく過程で「これとこれは関連があるといわれているが実際に論文がないな…」ということがあり、研究を続けていきたいと進学を決意しました。修士課程では良くも悪くも時間が多くあったので、研究だけでなく将来について深く考えるきっかけになりました。自分の一番大切な価値観は何か、それを満たすための手段は何かを明確にできたことが、博士課程での研究のモチベーションになっていると思います。

●今後の目標や抱負を教えてください

今後も「面白い」と好奇心を刺激されるような研究をしたいと考えています。もちろん、「面白い」を追求するだけでは社会の役に立つか分からない自己満足な研究になってしまいます。どう現場に活用できるのか、社会をより良くできるかという視点も忘れずに、今後も研究に取り組んでいきたいです。

mylife

休日はよく山登りに行きます。鳥のさえずりを聞きながら自然に触れ、山を登ることが好きです。平日の朝もよく伊達政宗騎馬像のある仙台城跡まで走っていき、石垣や仙台城跡から街並みを眺めています。ある漫画やアニメに影響を受け、今年度はロードバイクで青葉山などを登ろうと考えています。
仙台市内は木々が多くあり、自転車やランニングで散策するには非常に心地よい場所です。研究について行き詰まることや、ゆっくりと1人で考え事をしたい時が必ずあると思います。そのような時は、ぜひ近くの公園や青葉山など多く自然と触れ合える静かな場所に出掛けてみてください。リラックスできて、これまで気が付かなかった点や面白いアイデアが生まれるかもしれませんよ。

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PROFILE
公衆衛生学専攻
個別予防・疫学分野 卒業生
髙瀬 雅仁
Masato Takase

宇都宮大学教育学部卒業後、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻修士課程に進学。20213月に修了。20214月から東北大学大学院医学系研究科博士課程に進学。