東北大学大学院医学系研究科・医学部

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科学者になりたいという漠然とした思いが
初めて触れた研究で決意に変わり
将来の目標も見据え免疫学を探求中

インタビュー
医科学専攻
免疫学分野 在校生
田山 舜一
Shunichi Tayama
学年:博士課程3年
出身地:宮城県
2021.05.18

田山 舜一

異なる分野の進学に不安も、周囲のサポートで充実の研究生活

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

免疫学の奥深さに興味を持ち大学院に進学しました。私は小さい頃から理科が好きで、将来的には科学者になりたいという思いを漠然と抱いていました。本格的に研究に興味を持ったのは、理学部4年生時に初めて研究に触れた時でした。当時は、「植物(イネ)の葉が形成されるために必要な因子が細胞内でどのように局在しているか」ということをテーマに研究に取り組んでいました。そこで、分子生物学的な手法を用いて未知の現象を解明していくこと、そしてその成果を発表していく過程で、研究活動の魅力に引かれ、研究者として生きていこうと決意しました。引き続き、植物の研究を続けていくという道もありましたが、自分自身が体調を崩しやすいということから医学にも興味があり、いくつかの研究室を訪問し、免疫学に出合いました。普段は病原体などの異物のみに反応する免疫細胞は、時に私たちの正常組織や無害な物質に反応し自己免疫疾患・アレルギーの病を引き起こすことがあります。異物と無害なものに対する異なる応答はどのように制御されているのか、そのメカニズムを解明したく大学院進学を心に決めました。修士課程に進学した後は、ぜんそくの研究を行い、その後、免疫学のさらなる探求のため博士課程へと進学しました。

●進学してみて、どうでしたか?

充実した研究生活を送っています。進学当初は、学部生の頃と全く異なる分野に進学したこともあり、うまくやっていけるか不安でしたが、先輩方から実験面・勉強面のサポートをしていただき、大変助けられました。実験に煮詰まった時は、1人で考え込むよりも気軽にラボメンバーに聞くのが一番だと学びました。加えて、大学院生活を送る中で、自己管理能力を向上させることができたと実感しています。初めの頃は、パッと思い付いた実験をやるばかりで、時間・資源を有効活用することができていませんでした。そんな折、先生から「考える時間を設けなさい」と教わり、いかに効率的に研究を行うかと考えるようになりました。そのかいもあって、現在では、おおかた定時帰宅できるまでになりました。また、東北大学には、留学生が多く在籍しており、異文化交流や語学力向上には適した場所だと感じました。

新たな代謝経路が自己免疫疾患に及ぼす影響の解明に挑む

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

自己免疫疾患の新規病態発症メカニズムを解明するための研究を行っています。免疫細胞は、体内に侵入した病原体などの異物(非自己)を認識・排除することで、私たちの体(自己)を病気から守っていることが知られています。本来、免疫細胞は非自己のみを異物として認識していますが、時として自己を異物と誤認し正常組織に損傷を与えることで、自己免疫疾患(潰瘍性大腸炎、多発性硬化症など)が誘発されることがあります。近年、このような免疫細胞の異常応答の原因の一つとして、細胞内代謝バランスの破綻が関係することが明らかとなってきました。一方で、最近、哺乳類には酸素を用いたエネルギー代謝経路以外にも、硫黄を用いた「イオウ呼吸」なる新たなエネルギー代謝経路が存在するということが赤池孝章博士により発見されました(Akaike et al, Nat Commun 2017)。そこで、新たな代謝経路「イオウ呼吸」が自己免疫疾患に及ぼす影響を明らかにしたいと思い、研究に取り組むことを決意しました。

懇切丁寧な指導と白熱した議論がある風通しの良い研究室

●研究室の雰囲気はどうですか?

私が所属する免疫学分野は、学部生(医学科・保健学科)および大学院生(修士課程・博士課程)によって構成されており、各人が独立した研究テーマを持ち活動しています。学部生であっても主体性を重んじており、実験の計画・結果の解釈は、いったん自分自身の中でまとめ上げ、その後、先生方と話し合いをしています。ディスカッションに関しては、とことん詰めて白熱した議論を行っており、懇切丁寧な指導を受けています。議論の渦中、提言者の考えに論理的な矛盾を見つけたときは、年齢に関係なく、意見を言い合える風通しの良い研究室だと思います。また、実験を行うときは、1人で行うこともありますが、大掛かりな実験の際にはチーム総出(5~6人)で協力し合って実施することもあり、お互いのコミュニケーション力を必要とします。

●東北大学の良いところは?

学内には研究機器が多種設置されており、研究を行っていくためには最高の場所であり、さらに、研究者として活動・成長していくための各種支援制度が豊富にあると思います。例えば、私も採用させていただいている学際高等研究教育院では、修士・博士課程を通して支援金をいただくことができ、博士課程では学振DCに相当する奨学金が支給されます(学振DC取得者は、授業料相当)。学際高等研究教育院では、異分野の研究者との交流を主な目的としているため、分野外の方々に分かりやすく自身の研究内容を説明する必要があり、自然とプレゼンテーション能力が向上したと実感しています。学際高等研究教育院以外にも卓越大学院生制度なども設置されており、大学院生を支援する制度は充実していると思います。

博士論文をまとめ上げ、修了後は研究主宰者目指し留学を

●今後の目標や抱負を教えてください

博士課程卒業のために、博士論文をまとめ上げることを第一目標とし努力していきたいです。それと同時に、後世の育成にも力を入れていきたいと思っています。博士課程修了後は、研究主催者(Principal Investigator: PI)として取り組むための研究テーマを探すため、留学したいと考えています。

mylife

仙台は比較的自然に富んでおり、市街地にある公園では、四季ごとに木々の色づきを楽しむことができます。私は歩くことが好きで、いろいろなところを散策しているのですが、少し外れた郊外に出ると、リスやカモシカといった野生動物にも会えます。

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PROFILE
医科学専攻
免疫学分野 在校生
田山 舜一
Shunichi Tayama

20173月東北大学理学部生物学科卒業(経塚淳子研究室)。20193月東北大学医学系研究科修士課程修了(石井直人研究室)。同年4月より医学系研究科博士課程在籍(石井直人研究室)