東北大学大学院医学系研究科・医学部

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多くのものに目が行く自身の性質を
公衆衛生の分野で大いに発揮
多分野の専門家と協力し個別化予防実現へ

インタビュー
公衆衛生学専攻
個別化予防・疫学分野 卒業生
髙瀬 雅仁
Masato Takase
卒業年度:2024年度
卒業学位:博士(医学)
現在の職場・会社名:東北大学東北メディカル・メガバンク機構 個別化予防・疫学分野
現在の役職:助教
2024.06.11

髙瀬 雅仁

漠然とした興味から公衆衛生を学び、芽生えた意識

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

大学入学当初から漠然と研究に興味がありました。正直、「何かを解明したい」というような強い動機はなく、何かをやりたいという情熱もありませんでした。また、多くのものに興味を持つ一方で、すぐに目移りしてしまう傾向がありました(現在もそれにより多くの方にご迷惑をおかけしていますが…)。そんな私に、学部の際に所属していた研究室の先生が「多くの分野に触れることができる公衆衛生がいいのでは?」と勧めてくださり、公衆衛生の大学院に進もう、せっかく学ぶのなら公衆衛生学の最先端の場に行こうと思い、本学の公衆衛生学専攻に進むことを決断しました。修士課程から公衆衛生学分野兼個別化予防・疫学分野の寳澤篤先生にお世話になり、疫学のイロハを教えていただきました。私の萌芽的なアイデアにも丁寧に向き合っていただき、修士課程で数本の論文を国際誌に掲載できました。研究を続けていくうちに「どのような社会にしたいのか」「そのためにはどのような知見が必要なのか」と考えるようになり、研究を続けていきたいと思い、本学の博士課程に進学しました。

●進学してみて、どうでしたか?

修士課程、博士課程共に東北大学東北メディカル・メガバンク地域住民コホート調査のビックデータを活用させていただきました。東北メディカル・メガバンク機構では、さまざまな分野の専門家である先生方がおられるため、自分では気が付かつかない視点から研究を考える機会を頂き、自分だけでは行えなかった解析手法を学ぶことができ、成果を創出できました。

学部時代からの研究に加え、全く異なるテーマにも挑戦

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えてください

学部時代に体組成を簡便に測定ができる生体電気インピーダンス法について研究を行っていたため、修士課程では生体電気インピーダンス法により測定された体組成(筋肉量や脂肪量の違い)と動脈硬化性疾患について研究を続けました。体組成と疾患について数本論文を書いた後、全く異なるテーマでも論文を書いてみたいと思い、遺伝要因・環境要因と動脈硬化性疾患の関連についての研究を始めました。主に欧米では遺伝・環境要因が疾患発症にどのように寄与するかという研究が進んでいますが、日本人を対象にした検討は限られており、一人一人の体質に合わせた効果的な予防・治療法(個別化予防・医療)の開発についてはまだまだ実現が難しいのが現状です。そのため、現在は遺伝と生活習慣や生体内の代謝物質を考慮しながら、個別化予防・医療の実現に向けて研究を行っています。

●研究室の雰囲気はどうでしたか?

毎週1回、個別化予防・疫学分野、公衆衛生学分野、健康行動疫学分野の3つの分野で合同の勉強会を行っています。寳澤篤教授、中谷直樹教授ほか多くの先生方から貴重なご意見を頂き、自身の研究と深く向き合うことができる環境だと思います。勉強会も火曜日の17時15分からと、働きながらも多くの大学院生の方が参加し、活発な議論ができます。

大学院時代に活用したビッグデータを収集する側に

●東北大学の良いところは?

東北メディカル・メガバンク機構には、遺伝・生活習慣情報だけでなく、さまざまな身体学的バイオマーカー、疾患情報がそろったデータがあり、いろいろな研究仮説を検証できます。また、多様な専門家(遺伝統計学、生化学、疫学、公衆衛生学など)の先生方が在籍していて、他分野の知見も生かしながら研究が行えるところが強みだと思います。

● 現在のお仕事について教えてください。また、大学院時代のご経験はどのように活かされていますか?

東北大学東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 個別化予防・疫学分野の助教に就任し、主に東北メディカル・メガバンク機構のコホート運営に関わっています。大学院時代には大規模データを活用するのみでしたが、現在はデータを収集する過程に携わっています。大学院でさまざまなデータ解析に関わらせていただいたため、データの収集の際には、どのようなデータが必要かを考えながら仕事に従事できていると思います。

●今後の目標や抱負を教えてください

今後は論文を書くだけでなく、業務を行っていく必要があるため、時間管理、タスク管理が必要だと思っています。うまく両立しながらも、最先端でかつ意味のある研究を続けていきたいと考えています。また、さまざまな分野の方々と関わらせていただけるため、その分野の専門家の先生方と協力して、個別化予防の実現に向けたエビデンスを創出できるように励んでいきたいです。

mylife

ほとんどの休日はデータ解析をして過ごしていますが、あとは映画やアニメを見て過ごすことが多いです。最近では日曜日の午後は競馬を見て過ごしています(笑)。馬が飛んでいるように走る姿や最後までひたむきに走る姿に勇気をもらっています。

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PROFILE
公衆衛生学専攻
個別化予防・疫学分野 卒業生
髙瀬 雅仁
Masato Takase

2019年3月、宇都宮大学教育学部卒業。2021年3月、東北大学大学院医学系研究科修士課程公衆衛生学専攻修了(公衆衛生学修士)。2024年3月、東北大学大学院医学系研究科博士課程医科学専攻終了(医学博士)。同年4月、東北大学東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門 個別化予防・疫学分野助教。