2012年3月7日

胎生期脳の幹細胞から神経細胞が生まれる仕組みの解明 −サイクリンD2が片方の娘細胞に受け継がれ、未分化性を維持する−

 複雑な神経回路を構成する哺乳類の大脳発生過程において、細胞増殖や分化により、多数の神経細胞が秩序だって産生されることは非常に重要です。 東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授、恒川雄二研究員(当時、現所属;Scripps研究所)らは、発生期の哺乳類神経幹細胞において、細胞周期調節因子Cyclin D2(サイクリン D2)が脳原基の外側である基底膜面の先端(基底膜面突起、図1参照)に局在することを発見しました。また、Cyclin D2は神経幹細胞が2つの娘細胞に分裂する際に基底膜面突起と共に片方の娘細胞に受け継がれ、その細胞の運命を未分化な状態に維持する働きがあることを明らかにしました。さらに、このCyclin D2による細胞未分化性の維持は、哺乳類でのみ存在することから、進化の過程で獲得したメカニズムである可能性が考えられます。今後の研究の進展により、ヒト脳において莫大な数の神経細胞が産生され、脳が大きくなった仕組みの解明につながっていくことも期待されます。本研究成果は専門家の間で非常に着目される可能性があることから、欧州科学誌EMBOジャーナルに「Have you seen?」という紹介コラム付きで間もなく掲載されます。

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