2014年1月23日

脳虚血時の細胞死誘導メカニズムへ光

 生理学研究所等と東北大学大学院医学系研究科の松井 広(まつい こう)准教授のグループは、細胞活動を光で自在に操作する新技術を用いて、脳のグリア細胞の新しい役割を発見しました。今回の研究では、(1)グリア細胞から神経伝達物質として働くグルタミン酸が放出され、学習等の脳機能に影響を与えていること、(2)グリア細胞の異常な活動が過剰なグルタミン酸の放出を引き起こし、その結果、脳細胞死が生じることを明らかにしました。また、これまでに、脳虚血時には組織のアシドーシス(酸性化)が起こるとともに、どこからか過剰なグルタミン酸が放出されることは分かっていたのですが、今回、(3)グリア細胞内の酸性化がグリア細胞からのグルタミン酸放出の直接の引き金となるという、新規のメカニズムも発見しました。さらに本研究では、(4)光操作技術でグリア細胞をアルカリ化するとグルタミン酸放出が抑制され、虚血時における脳細胞死の進行を緩和できることが分かりました。これらの知見は、脳梗塞などの新たな治療につながるものと期待されます。本研究結果は2014年1月22日付(日本時間1月23日)のNeuron誌に掲載されます。

 本研究は、文部科学省科学研究費補助金、武田科学振興財団により支援されました。

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