2014年2月5日

急性呼吸器感染症の原因ウイルス株を解析

 東北大学医学系研究科の押谷 仁(おしたに ひとし)教授(微生物学分野)と岡本 道子(おかもと みちこ)助教(微生物学分野)らのグループは、近年、世界的流行を起こしているエンテロウイルス68型(EV68)の抗原性および受容体結合性を初めて明らかにしました。

 EV68は1962年に急性呼吸器感染症の原因ウイルスとして初めて分離され、2000年代前半まで希な検出のみ報告されてきましたが、その後、2000年代後半になり世界各国で検出の報告が急増しました。しかし、EV68流行の原因となったウイルス学的要因はいまだ明らかとなっていませんでした。東北大学医学系研究科微生物学分野・大学院生の今村 忠嗣(いまむら ただつぐ)が中心となり、ウイルスの抗原性、および、ウイルスが細胞接着時に必要とする組織親和性に関わる受容体結合性について解析を行った結果、近年流行したEV68は過去に検出されたウイルス株とは大きく異なる抗原性を持ち、近年流行株も抗原性の異なる複数のウイルスで構成されている実態が明らかとなりました。また、EV68は主に下気道に分布する糖鎖(α2-3結合型シアル酸)よりも、上気道に分布する糖鎖(α2-6結合型シアル酸)に高い結合性をもつことが明らかとなりました。

 本研究により、近年のEV68の世界的流行には抗原性の異なるウイルス株の出現が関与している可能性が明らかになるとともに、EV68がヒト上気道に親和性をもつ可能性が初めて示されました。本研究で得られた知見は、今後、EV68による流行発生機序および感染病態の解明につながることが期待されます。

 本研究内容は2014年2月6日(東部標準時)にJournal of VirologyのOnline版に公開予定となっています。

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