2010年1月19日

がん転移の仕組みをナノメートルレベルで可視化

がん転移の仕組みをナノメートルレベルで可視化
(ナノメートル精度の生体可視化技術開発により、がん転移時の細胞膜たんぱく質動態の劇的な変化を発見)

東北大学大学院医学系研究科の大内憲明 教授,権田幸祐 講師の研究グループは,東京大学大学院理学系研究科の樋口秀男 教授らと共同で、ヒトの乳がん細胞を植え付けたマウス内でたんぱく質や薬物1 分子の動きを世界最高精度(9 ナノメートル(ナノメートル:ミリメートルの百万分の一))で解析できる装置を開発しました。がんにおいて最も恐ろしいのは、他の臓器へ転移する能力であります。本研究グループはこの装置を用いて、がんの転移を引き起こす細胞膜たんぱく質に蛍光標識を行い、たんぱく質の動きを解析しました。その結果、(1)がん細胞の形態の変化が、がん転移時に重要であること、(2)転移の進行に従い膜たんぱく質の移動速度(拡散速度)が1000倍以上変化し、速度増加が転移の活性化に重要であること、をマウスの研究ではじめて示しました。従来の生体観察技術は精度がマイクロメートル(ミリメートルの千分の一)のレベルであったため、分子精度のがん転移の仕組みは長い間謎に包まれていました。
本研究によって、はじめて分子レベルでがん転移の様子を可視化することができました。本研究の応用分野として、がん転移の活性化メカニズムの解明、膜たんぱく質の移動速度変化を指標としたがん悪性度診断、そして抗がん剤改良による新たな治療法開発などが期待されます。本研究の成果は2010年1月22日に生命科学分野の学術誌「Journal of Biological Chemistry」にオンライン掲載されます。

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