2010年8月13日

C型肝炎ウイルスの複製を抑制する自然食品由来物質の同定

C型肝炎ウイルスの複製を抑制する自然食品由来物質の同定
カテキン誘導体によるウイルスの抑制

東北大学病院の児玉栄一・内科感染症科・助教、服部俊夫科長(内科感染症科・東北大学医学研究科感染病態学教授)、大阪大学微生物研究所、扶桑薬品、長崎大学薬学部らの共同研究チームは、食品に含まれるカテキンの一種であるプロシアニジンB1 (PB1)がHCVのRNAゲノム合成阻害を介して複製を抑制することを見出しました。本研究成果は最近、国際抗ウイルス学会雑誌(Antiviral Chemistry and Chemotherapy)の電子版で報告されました。

【研究内容】
C型肝炎ウイルス(HCV)は感染後、長期にわたる慢性肝炎を引き起こすことがあります。HCVに対する治療としてリバビリンとインターフェロンの併用治療が広く行われていますが、本邦で流行している一部のタイプでは効果が十分でないことがあります。またこれらの薬剤は経口投与することができないだけでなく、発熱・全身倦怠感・うつなどの副作用も多く、長期の治療が困難になることがあります。そのため、効果を増強する新たな薬剤の開発が切望されています。
これらの問題点を解決・低減するために同研究チームは、自然食品中に含まれるカテキン誘導体に現在の治療効果を増強・改善させる物質が含まれていないかを検討しました。その結果、カテキンの一種であるプロシアニジンB1 (PB1)がHCVのRNAゲノム合成阻害注を介して複製を抑制することを見出しました。PB1は(-)-エピカテキンと (+)-カテキンという2種類のカテキンの重合体ですが、これら単独では効果を示さず、重合していることが必要でした。PB1は自然食品、一部のフルーツやお茶に多く含まれていることがこれまでに知られています。また上記した薬剤と作用機序が異なることから、PB1は副作用の比較的少ない新たなC型肝炎ウイルスの補助療法として期待されます。

【用語説明】
注;RNAゲノム合成阻害
ウイルスの一部はリボ核酸を遺伝子(ゲノム)として利用することがあります。この仲間として日本脳炎ウイルス、インフルエンザウイルスも含まれます。このゲノムの合成が阻害されると新しいウイルスが産生されなくなり、結果としてウイルスの抑制につながります。

【論文題目】
Procyanidin B1 purified from Cinnamomi cortex suppresses hepatitis C virus replication. (プロシアニジンB1はC型肝炎ウイルスの複製を抑制する)Antiviral Chemistry and Chemotherapy 2010電子版 

連絡先
東北大学病院内科感染症科
助教
児玉栄一
電話番号:022-717-7199
Eメール:kodama515*med.tohoku.ac.jp(「*」を「@」に変換してください)

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