ご挨拶

写真:下瀬川 徹

医学、それは現代のフロンティア

~広く人材を求め、教育と研究によって創造する未来へ~

五十嵐 和彦
IGARASHI, Kazuhiko

医学は、人類の健康な生活を確保し、病気や障害があったとしても充実した人生を送っていけるように支える学問です。医学の開拓へ向け、東北大学医学部は東北帝国大学医科大学として1915年に開設され、国立の医育機関としての活動を始めましたが、その源流は1872年に創立された宮城県立医学所、さらには1817年の伊達藩による「仙台藩医学校」設立に遡ることができます。本医学部、そして医学系研究科はこの100年を越える歴史の中で、「研究第一」・「門戸開放」・「実学尊重」の3つの東北大学理念のもとに、常に時代を先取る形で教育体制を進化させながら、国内外から広く人材を求め、教育・研究・最先端医療を統合して推進し、研究者ならびに指導的な医師や看護師、放射線技師、臨床検査技師などを養成してきました。また、研究を通して新たな医療技術の開発や医療水準の向上に貢献してきました。脳波測定装置の開発と診断への応用、胆道閉鎖症に対する葛西術式の開発、がん集団検診の確立、もやもや病の命名、近年ではサイトカイン受容体や酸化ストレス応答など生体防御機構の解明、新しい臓器間ネットワークや癌遺伝子Ras経路の異常に由来する先天性疾患群の発見など、東北大学医学部は医学の発展においても大きな貢献をなしてきました。さらに、東北地方の橋渡し研究ネットワーク拠点である大学病院と共に、研究成果の実用化を先導しています。

一方、現代の社会には、未だに根本的治療法や予防法のないがんや神経変性疾患などの病気、ゲノムの違いなど個人個人の特性に応じた治療法や予防法の開発、新興感染症など、解決すべき課題がまだまだ多く残っています。また、超高齢化社会における医療体制や、がんなどの治療を受けながら働いていけるサポート体制など、社会システムの改善も求められています。被災地の中心にある総合大学として、被災地の皆様の健康支援も私たちの新たな使命です。このような課題の解決に向けて、東北メディカル・メガバンク機構や大学病院と連携したゲノムなど生体情報に基づく次世代医療の開発や、災害科学国際研究所と連携した災害医学研究など、医学系研究科は新しい挑戦を始めました。宮城県等における地域医療の中核的役割を強化するために、公衆衛生学専攻の設置(2015年)や総合診療医養成体制の整備なども進めています。

医学は常に進化を続ける、まさに現代のフロンティアです。そのフロンティアを開拓するのは、熱意と探求心にあふれた若者です。ぜひ本医学部、そして研究科に参加し、学問を学び、研究、実用化、そして医療を通して人類に貢献することを目指してください。

五十嵐 和彦(いがらし かずひこ)

医学系研究科長・医学部長
東北大学大学院医学系研究科 生物化学分野 教授
1987年東北大学医学部卒業。その後、アメリカ合衆国シカゴ大学博士研究員、東北大学医学部助手、筑波大学先端学際領域研究センター講師、東北大学医学部助教授、広島大学医学部教授を経て、2005年より東北大学医学系研究科生物化学分野教授。2017年に東北大学大学院医学系研究科長・医学部長に就任、現在に至る。

 

主な研究業績:
  • 遺伝情報発現機構を柱とした、がん、免疫、細胞分化に関する研究
  • 転写制御複合体と転写制御ネットワークの研究
  • エピジェネティクスと代謝の連携に関する研究
  • 発がんおよび発がん防御の分子機構の研究
  • 血液細胞分化・液性免疫制御の研究
  • 補欠分子ヘムによる細胞応答制御の研究
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