東北大学大学院医学系研究科・医学部

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研究活動に専念できる環境を求め、
本学初となる「研究医養成コース」へ
基礎医学修練から切れ目ない研究活動で
医学研究者への道を邁進

インタビュー
医科学専攻
加齢医学研究所基礎加齢研究分野 在校生
坂田 菜摘
Natsumi Sakata
学年:博士課程3年
出身地:長野県
2020.05.29

坂田 菜摘

医学科時代から研究活動に専念できる環境へ

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

高校生の時から分子生物学に興味があり、医学科入学後まもなく現在の研究室で研究を始めました。学部での授業や試験と研究を両立することは大変なことでしたが、試行錯誤しながら実験をして真実を見つけていくことにやりがいを感じるようになっていきました。同時に、現在の医学・生物学の分野がまだまだ発展の途中であることを知りました。研究室での経験を通して、将来も研究に携わっていくには、実際に研究に取り組むことでしか得られない経験や知識というものが絶対に必要だということを実感しました。そしてそれらを身に付けるためには、学部での授業との並行ではなく、ある程度研究活動に専念し、より専門的かつ高度な教育を受ける期間が必要だということも痛感しました。それを達成できるのが、大学院です。本学には研究医を目指す学生のために研究医養成コースが整備されており、研究医コースでは学部の途中で大学院に進むことができます。前例のない進路であり迷いもありましたが、多くの先生方が相談にのってくださいました。学部での研究活動の勢いを保ち、早期に実績を積むことが可能になると考え、私は本学一人目のMD-MC-PhD コースの学生として、大学院に進学することを決めました。

学生主体の研究環境と、大学全体でのサポートが充実

●進学してみて、どうでしたか?

学部に在籍していた時は朝から夕方までの時間を授業や実習に割いていましたが、その時間も含め、一日の大半を研究につぎ込むことのできる環境は、今までにできなかった様々な実験に挑戦し、大きく研究を進めることを可能にしました。
また、東北大学の研究第一の風紀に則り、学生が主体となって研究を進める環境を大いに活用し、のびのびと実験ができることをうれしく思います。大学院生が参加することのできる学内での研究発表会やセミナーも非常に充実しており、自分の専門分野を深めながらも、他の分野での研究を知る機会も豊富に得ることができました。
また、そういった場や学会で発表する機会も多く頂き、自分の研究を発信するという経験も多く積むことができるようになりました。自分が実験を行っている加齢医学研究所だけでなく、医学部やその他の学部の設備を使った実験も可能で、非常に広い可能性をもって研究を進めることができます。他の研究室の先生方に研究や大学院生活の相談をする機会も設けられており、そういったサポートにも支えられています。進学時の目標通り、研究に専念し充実した大学院生活を送っています。

未解明の生命の基本機能に近づく

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えてください

私は、細胞での分子の交絡とそれによる情報の伝達に興味がありました。現在は、細胞内における栄養状態の感知・維持に関する機能未知タンパク質の解析をしています。特に、栄養感知の中心を担っているとされるmTORやAMPKといった分子に関連するタンパク質を対象とし、培養細胞や実験動物を使った実験を行っています。細胞は常に栄養の消費と取り込みを行い生命を維持していますが、細胞内外の栄養状態の情報がどのように伝達され、反応を起こしているかについては、多くの部分が謎に包まれています。このような非常に基礎的かつ重要な細胞機能ですら、その機能に関連する分子が何なのかも、多くが解明されていないのです。逆に、細胞の生命の維持に必要であることが示唆されていながら機能が分かっていない因子が、細胞内には数多存在します。このような因子の役割や性質を探求することは、生命の根幹を担う機構を明らかにすることでもあり、生命の研究の醍醐味です。まだ研究者の卵である学生であっても、それらを明らかにし得るというのは、とても魅力的なことです。生命の基本機能の解明に近づく研究をしたいと思っています。

多様な背景の研究員と経験や年齢に捉われない活発な意見交換

●研究室の雰囲気はどうですか?

比較的少人数で構成されていますが、活発な議論の絶えない研究室です。かつての自分のように、学部での勉強をしながら研究を行っている学部学生もいます。メンバーのバックグラウンドもそれぞれ異なり、日々様々な意見に触れることができます。また、学年などに関わらず忌憚なく意見を言い合い、自分の実験を改善し研究を良い方向に進めると同時に、自らの思考力や論理性を日々高めることができます。学部生や大学院の低学年であっても学生本人が主体となって自らの研究を論文としてまとめることを奨励しており、実験から執筆・査読への対応なども、教員やスタッフの手厚いサポートの下、学年や経験年数を問わず、自らの実力で研究者としての実績を積み上げることができる体制です。研究以外の雑談も気軽にすることができる雰囲気です。また、学生であっても研究室の運営に積極的に携わるようになっており、自らの実験だけでなく様々な実験機器や実験手法についても多く学ぶことができます。学生として所属する数年間だけでなく、生涯の研究活動につながる知識と技能を身に着けられる体制が整っています。

研究第一の理念のもと、充実した環境が整う

●東北大学の良いところは?

研究のための設備が非常に整っています。複数研究室で共有している共通機器が非常に充実しており、専門の職員による指導・管理のもとで安心して使用することができます。研究室の所属する機関の機器だけでなく、他の学部や研究科の機器も使用できる制度があり、自分の研究を大きく発展させることが可能です。また、各種学術雑誌やデータベースへの豊富なアクセスが確保されており、研究に必要な情報の収集を存分にすることができます。化合物・動物のライブラリやソフトウェアも学内で共有されており、迅速に使用することができます。こういった点で、医学部・医学系研究科だけでなく、理学や工学の学部・研究科を抱える東北大学の大きなアドバンテージを自らの研究に大いに活用することができます。学部や研究科を越えた研究が可能なのも大きな利点ではないでしょうか。医学系研究科には、医学部だけではなく理学部や工学部出身の学生・教員が多数在籍しており、様々な視点からの考え方を吸収することができます。

医学研究者として生命や疾患の謎に細胞から向き合う

●今後の目標や抱負を教えてください

博士課程では、現在行っている研究を論文としてまとめ、博士号の取得に臨む予定です。研究対象としている因子が、細胞内でどのような役割を果たしているのか、その交絡因子とともに明らかにし、生物学的意義を示します。博士課程修了後は、研究医養成コースの学生として学部4年生に復帰することになりますが、そこで博士課程での経験を臨床医学の学習や病院実習で活かしていきたいと思っています。基礎医学の研究における、疑問をもつこと、自らその解決方法を考えること、実際に解決すること、というプロセスは、臨床医学の現場においても大きな学びにつながると考えています。卒業後は医学研究者として、生命や疾病について、分子や細胞のスケールから研究していくことが目標です。特に、まだメカニズムの詳細が分かっていない細胞機能について、ひとつでも多くの知見を得ることができればと思います。医学系研究科での経験は、その根幹となると考えます。また、研究第一を掲げる東北大学における一人目のMD-MC-PhD コースの学生として、医学研究者を志す後輩の指針となれるよう尽力します。私の学生生活を通して、医学研究者を志し、実際に研究に邁進する学生が一人でも増えてくれることを願っています。

mylife

星陵キャンパスから川内・青葉山方面へと歩いていくと、宮城県の有名河川である広瀬川を渡る橋につきます。広瀬川は季節や天候によって非常に表情が変わります。特に春の晴れた日には、広瀬川沿いとその向こうの青葉山の緑と、川の色との調和がとても綺麗です。広瀬川を渡る橋の上からは、緑の向こうに仙台市街を見ることができます。さらにその先を進み、蛇行した広瀬川を再び渡ると、仙台市街に近い西公園という大きな公園があります。春には多くの桜の木が花をつける花見スポットですが、その時期を少し過ぎた緑の頃もまた、杜の都仙台を象徴する気持ちのよい雰囲気です。桜の咲く時期には、そっと一人で夜桜を見物するのも、私の毎年の楽しみになっています。普段は研究室にこもりがちですが、時々大学から歩いていくと、気軽な距離にこのような自然を見ることのできる場所があることは、星陵キャンパスの大きな魅力のひとつです。星陵キャンパスへお越しの際は、ぜひ近隣のこのようなスポットも楽しんでいただければと思います。

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PROFILE
医科学専攻
加齢医学研究所基礎加齢研究分野 在校生
坂田 菜摘
Natsumi Sakata

2014年3月 長野県立松本深志高校卒業、同年4月 東北大学医学部医学科入学。2017年3月 医学部医学科3年修了。同年4月 研究医養成コース(MD-MC-PhD コース)の学生として医学系研究科修士課程入学、2018年3月修士課程修了、修士号(医科学)取得。同年4月より医学系研究科博士課程在籍。