東北大学大学院医学系研究科・医学部

大学院説明会
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家族の疾患に対する無力さに歯がゆさ感じ
大学院でやりたいことが明確に
同じ疾患に苦しむ人たちのため貪欲に学ぶ

インタビュー
障害科学専攻
産科学・胎児病態学分野 在校生
井田 瑛理香
Erika Ida
学年:博士前期課程2年
出身地:群馬県
2022.05.30

井田 瑛理香

実践で生かすための学びに楽しさ、新たな発見に喜び

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

卒業研究が楽しく、研究をさらに続けたいと感じたからです。学部4年の6月から11月にかけて卒業研究を行い、まだ世界中で誰も知らない事象を発見することがとても面白く、さらに深くまで追求したいと感じました。私は発達障害の一つである自閉スペクトラム症(自閉症)の研究をしているのですが、産科学・胎児病態学という観点から切り込むユニークさにも引かれました。学部生時代には精神医学、産科学、胎児病態学のいずれも興味はありましたがあまり学ぶ機会がなかったため、新鮮に感じたのも理由の一つです。ただ座学として学ぶのではなく、研究に役立てるために学ぶのは、得た知識がそのまま考察などに生かせるので、勉強していてとても楽しいです。

●進学してみて、どうでしたか?

大学までと異なり、大学院は自分がやりたいことを積極的に発信する必要がある場だと感じました。卒業研究のテーマは先生方が提示されたものを選んだだけでしたし、初めは右も左も分からないままでしたので、研究方針や実験結果の解釈の仕方も先生方の助言を頂いて研究を進めていました。大学院では、同じテーマでさらに細部まで研究するにはどうすればいいかを知るため、改めて先行研究の論文を読みあさりました。研究の方針を決める時は、指導教員の先生や、講義でお世話になった先生が親身に相談に乗ってくださり、自分の興味のあること、本当にやりたいことを明確にできました。実験を行いながらも、とにかく知識をつけるのに必死の毎日ですが、実験結果が見えてきた時、それについて議論する時の高揚した気持ちを感じると、研究を続けていて良かった、さらに新しいことを発見したいと思えます。

学会への参加も研究へのモチベーションが高まる良い機会となっています。昨今の新型コロナウイルスの流行もありオンラインでの参加が多いのですが、一度だけ現地参加の機会を頂いた時、同分野で研究をしている他大学の大学院生の方々と議論を交わし、最新の知識や解釈を習得できました。

実験がうまくいかない時、調子が悪い時にはこの経験を度々思い出し、今もって未熟であり勉強不足であることを自覚し、努力を重ねるためのきっかけとしています。

「当事者」として研究し、患者さんとその家族に貢献したい

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

研究テーマは「胎児期に着目した自閉スペクトラム症研究」です。私の家族が自閉スペクトラム症で、同じ疾患の患者さんやその家族の皆さんに少しでも貢献したいという気持ちで選びました。

この疾患には小学生の頃から興味を持っていました。研究対象ではなく、当事者としてです。現時点の医学では原因不明とされており、根本的な治療法はいまだにありません。症状に混乱し悩む本人だけでなく、自分が悪かったのかと苦しむ両親も見てきており、何もできない自分を歯がゆく感じることも多々ありました。卒業研究のテーマを選ぶ際、自閉スペクトラム症の研究に携わることができる研究室として当研究室が挙げられており、研究対象としてこの疾患を知りたいと思い、さらに胎児病態として着目することに興味を持ったため、上記のテーマを選びました。

学生にとって研究が身近で、分野に縛られず追求できる

●研究室の雰囲気はどうですか?

少人数で構成されている研究室なので指導が受けやすく、相談もしやすい環境です。指導教員の先生方や職員の皆さんは気さくな方ばかりで、ささいなことでも親身になってくださります。動物を扱うものなど、1人ではできない実験を一緒に進めてくださることもあり大変ありがたく思っています。このような環境に恵まれていることも、研究が楽しいと思える理由の一つだと感じています。また現在、学生が私を含め3人しかいないため学生同士の距離も近く、お互いに実験を手伝ったり、解析結果を見ながら議論をしたりと日々刺激のある生活を送ることができています。

●東北大学の良いところは?

学生にとって研究が身近なものであるところです。やる気のある人は学部1年から研究室に通っているなど、「研究」というものに触れやすい環境が整っていると感じます。また、当研究室には医学部出身だけでなく、理学部、工学部出身の方もおり、異なる分野の新たな視点を得られることが多いです。このように、分野に縛られず興味のあることに関して追求できることも魅力の一つと考えています。

周囲の支えに感謝し、新たな知見を貪欲に取り入れ成長

●今後の目標や抱負を教えてください

修士論文の完成を目標に、現在遂行している研究に力を注いでいきます。大学院生になり同期が就職していく中、研究室の皆さんだけでなく、家族や友人などの周囲の方々にさまざまな面で支えられていることを改めて痛感しています。自分が日々研究にいそしめることに感謝を忘れず、研究分野を問わず新たな知見を貪欲に取り入れ、主体性を持って研究活動ができるよう成長していきたいと思います。

mylife

休日は定禅寺通りや仙台駅までの道のりを散歩したり、緑の多い公園でコーヒーを飲みながら昼食を食べたりしています。新型コロナウイルスが流行する以前は、仙台のカフェ巡りをしていました。ほかにも、電車に揺られて少し遠くの仙台うみの杜(もり)水族館や、松島の海を眺めに行くなどしていました。巨大な水槽で悠々と泳ぐ魚たちや、日差しを反射して輝く海と島々を見ていると、デスクワークで疲れた体がとても癒やされます。仙台駅からバスで日帰り温泉に行くのもお勧めです。

仙台に来て6年目になりますが、自然に触れられる環境が多い中でおしゃれなお店がたくさんあり、便利で楽しい場所だと思います。

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PROFILE
障害科学専攻
産科学・胎児病態学分野 在校生
井田 瑛理香
Erika Ida

2017年3月群馬県立高崎女子高等学校卒業。2017年4月、東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻入学。2021年3月、同学卒業。2021年4月、東北大学大学院医学系研究科産科学・胎児病態学分野博士前期課程に進学。