東北大学大学院医学系研究科・医学部

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数多くのことに挑戦する充実した研究生活
副作用の少ない医薬品開発につなげ
一人でも多くの患者さんを救いたい

インタビュー
医科学専攻
抗体創薬研究分野 在校生
七宮 蓮
Ren Nanamiya
学年:博士課程2年
出身地:宮城県
2022.05.30

七宮 蓮

楽しさとやりがい感じながら多くの実験と試行錯誤の日々

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

シンプルですが研究が楽しいからです。私は主に有機化学・生物に興味があり、創薬研究に魅力を感じていたため東北大学薬学部へ進学しました。薬学部のさまざまな分野の講義を通して、基礎研究と臨床の橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)、がんの克服に向けた研究ができる研究室へ進みたいと考え、まれですが卒業研究では医学系研究科の病理診断学分野へと進みました。実際に研究を体験してみて、良い結果が得られると充実感ややりがいを感じ、博士号を取得した上で今後も研究を行っていきたいと考えるようになりました。博士課程からは、修士課程までの研究を通して興味を持った膜タンパク質を標的とした、医薬品開発へつながる研究に挑戦したいと思い、現在の抗体創薬研究分野へ進みました。

●進学してみて、どうでしたか?

充実した研究生活を送っています。上記の通り修士課程までは別の研究室に在籍しており、博士課程から現在の研究室へと進んだため、技術および知識の面でうまく研究を進められるか不安でしたが、周りの方々のサポートもあり順調に研究を進められていると思います。現在は挑戦していることが数多くあり、多くの実験をこなしているため、常に効率よく行う方法を考えることを意識しています。どの実験をどのタイミング、組み合わせで行えば効率よくできるのか、頭の中で戦略を立てて試行錯誤することを意識して研究を行っています。

副作用が少なく患者さんに優しい医薬品開発のために

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

特定の膜タンパク質に対するがん特異的抗体の開発、その認識機構の解明のための研究に取り組んでいます。がん特異的な抗体の作製のために、私たちの研究室で開発されたCasMab法という手法を用いています。CasMab法とは、がん特異的糖鎖が付加した糖タンパク質や細胞株を免疫することで、がん特異的抗体を直接取得できる方法です。従来の抗体医薬品は特定の膜タンパク質を特異的に認識する一方で、正常組織にも反応するため、それによる副作用が臨床における問題点とされています。また、正常組織での発現量がある程度高く、低分子・抗体などに関係なく医薬品としての標的化が困難な膜タンパク質もあります。CasMab法はそれらの問題点を解決することができる革新的な技術です。この研究により、副作用の少ない抗体医薬品や、がん特異的抗体の抗体遺伝子を基にしたキメラ型抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法などの免疫療法への応用が期待されます。
テーマを選んだ理由としては、先述の通り修士課程までの研究を通して興味を持った膜タンパク質を標的とした、医薬品開発へつながる研究に挑戦したいと考えたからです。また、薬学部での薬害被害に遭われた方のお話を伺う機会や、医薬品医療機器総合機構でのインターンシップの経験もきっかけの一つです。それらの経験を通して、単に効き目の良い医薬品を開発するのではなく、副作用が少なく、患者さんに優しい医薬品開発が医療においていかに重要かを痛感しており、CasMab法を用いた研究に興味を持ちました。

大半の時間過ごす研究室、在籍する学生の声も聞いてみて

●研究室の雰囲気はどうですか?

実験や論文執筆、勉強に集中できる環境が整っていると思います。学生よりも職員の方の割合が高いこともあり、知識や実験手技について気兼ねなく質問できるところが優れています。本分野では、複数人で進める研究も多いため、お互いのコミュニケーションが必要とされます。大学院では講義もありますが、大半の時間を研究室で過ごすことになるため、教員からだけではなく、実際に在籍している学生に研究室の雰囲気などを具体的に聞くことも重要だと思います。

●東北大学の良いところは?

研究第一主義を掲げていることもあり、博士課程の学生に対する支援が手厚いところです。実際に私が支援を受けていたグローバル萩博士学生奨学金やJST次世代研究者挑戦的研究プログラムなどに加え、学際高等研究院や卓越大学院プログラムなど、知り合いのほとんどの博士課程の学生は支援を受けています。ほかにも、私が2022年度から採用された日本学術振興会特別研究員への申請の際には、学内の申請書公開制度や学内の採択者との相談会などがあり、採用のための支援が充実している点が優れていると感じています。

休息を取りながら粘り強く、臨床応用につながる成果目指す

●今後の目標や抱負を教えてください

臨床応用へとつながる研究成果を出すことです。実際に応用されるまでは莫大(ばくだい)な年月が必要ですが、関わった研究を通して医薬品への応用を目指し、一人でも多くの患者さんを救いたいと思いながら、日々研究に励んでいます。

mylife

休日は自宅で読書や映画鑑賞のほか、手を動かすことが好きなので掃除や料理をして過ごすことが多いです。適切な休息を取ることは、研究を進めていく上で重要だと考えています。たまに、気分転換も兼ねて友人とラーメンなどを食べに行きます(写真)。昔から星陵キャンパスの近くに住んでいますが、川内や青葉山キャンパスに通っていた時と比べて、星陵キャンパス周辺はお店が多くて便利です。

写真1

PROFILE
医科学専攻
抗体創薬研究分野 在校生
七宮 蓮
Ren Nanamiya

2015年3月宮城県宮城第一高校理数科卒業。2019年3月、東北大学薬学部創薬科学科卒業(医学系研究科病理診断学分野、笹野公伸教授)。2021年3月、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了(病理診断学分野、笹野公伸教授)。同年4月、東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程進学(抗体創薬研究分野、加藤幸成教授)。2022年4月、日本学術振興会特別研究員(DC1)採用。