東北大学大学院医学系研究科・医学部

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行き詰まっても考え続ける持久力を養いたいと
大学院に進み、多くの経験を積み
社会人博士として目標に向け歩み進める

インタビュー
保健学専攻
放射線治療学分野 卒業生
石澤 美優
Miyu Ishizawa
修了年度:2022年度
修了学位:修士
現在の職場・会社名:山形大学医学系研究科重粒子線医学講座
現在の役職:助教
2023.06.21

石澤 美優

未知に挑む大変さを実感しながらも環境に恵まれ着実に前進

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

学部時代に医学物理士という職業を知り、修士以上でなければその資格を得るための試験に受験できないことが分かり進学しようと思いました。親が「修士以上を出ている同僚は思考力だけでなく行き詰まった時に考え続けられる“持久力”のようなものがあると感じる」と言っていて、そうした力を養いたいと思い入学しました。

●進学してみて、どうでしたか?

研究が思った通りにいかなかったり、試してみたい方法が知識やスキルがないためできなかったりと、進んでいる感じがしない時期があり苦しかったです。正解を誰も持っておらず、未知のことを明らかになるか分からないまま研究するのがつらいものだと初めて知りました。世の中の研究者の方々に尊敬の念が湧きました。それでも環境に恵まれ、近くで先生方が助言してくださり、なんとか研究を進めることができました。在学中に学会で発表したり、論文を投稿したりと、初めての経験をたくさんして、進学して良かったです。(論文は無事、修士卒業2か月後に受理されました。)
また、医学物理士コースは東北大学病院で医学物理士のトレーニングができ、放射線治療に関するさまざまなことを実地で学べました。教科書や論文を読んで理解できなかったことが、実際にその構造や様子を見て、測定を実施することで、書いてあった内容が頭に入ってきた時はうれしかったです。実際に放射線治療の計画を立てたり、照射装置の品質管理をしたり、いろいろな臨床業務を経験して、医学物理士の試験対策にもなりましたし、自分が働くイメージが湧きました。

卒業研究に関連したテーマを修士で深め、博士でも追究

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えてください

修士では「放射線治療中に起こる頭頚部(けいぶ)体積の変化を放射線治療前に予測する」ことを目標に研究していました。卒業研究で、これに関連する内容を行っていたのがきっかけです。放射線治療中に頭頚部がん症例では頭頚部体積が変化することが知られていて、腫瘍やリスク臓器に対する線量分布が悪化する可能性があります。そのため、治療全35回の途中で再計画を行いますが、それを行うタイミングや頻度は画一的です。治療前にどのように変化するか予測できれば、これらを最適化できるのではないかと考えました。現在も博士課程で関連した研究を行っています。

●研究室の雰囲気はどうでしたか?

同じ部屋に先生がいてくださったので、質問がしやすかったです。週に1度ある分野ミーティングでは同期や先生とも忌憚(きたん)ない意見交換ができ、勉強になりました。所属する研究室が少人数だったこともあり、先生から手厚い指導が受けられました。

世界の研究者と渡り合う教授たちと接する日常が刺激に

●東北大学の良いところは?

研究に対してストイックな先生が多いところだと思います。世界の研究者と対等に渡り合い、目指しているところが高くて尊敬しています。そういった先生方とお話しすると背筋が伸び、毎回非常にやる気が出ました。

●現在のお仕事について教えてください。また、大学院時代のご経験はどのように活かされていますか?

現在は山形大学で助教として働いています。授業の担当はなく、臨床と研究が主な業務です。医学物理士として、放射線治療計画を立てたり、医師の立てた治療計画を確認したり、放射線治療に関連するさまざまな装置の品質を管理したりしています。研究については実績もスキルもまだまだ足りないと実感する日々ですが、修士で勉強したこと全てが役立っています。臨床業務は東北大学病院と山形大学病院で違いはありつつも、基本は同じなので、最初学んだ時よりも理解しやすいです。両院の違いから、なぜそのようにしているか考える機会が多く、実際に行っている業務の意図が深く理解できるようになってきました。

●今後の目標や抱負を教えてください

博士課程の学生としては、論文をインパクトファクターの高いジャーナルに通して、3年間できちんと博士課程を修了することが目標です。国際学会で発表もしたいです。助教としては、通常の業務を行うことはもちろん、現状残っている問題点や改善点を見つけて効率化を図ったり、治療精度を高めたりしたいです。来年、照射装置の交換が予定されていて、受け入れ試験やビームデータ測定などリニアックの立ち上げに参加できるチャンスなので、今のうちに知識を蓄え、役立てるようになることが目標です。

mylife

好きな休日の過ごし方は、百日坊温泉に入りに行くことです。普段は毎日シャワーを浴びるだけなので、足を伸ばして入る週1回のお風呂にとても癒やされます。落ち着いた雰囲気で、入浴後もだらだら居続けてしまいます。外観は情緒があってすてきで、地元の方が入るようなひっそりした感じがとても好みで、何も考えずぼけっとするのに絶好の場所です。家からとても近い距離にあるのも良い点です。

星陵キャンパス周辺のお薦めの場所は、輪王寺というお寺です。広い敷地と咲き誇るアジサイが魅力です。星陵キャンパスの近くはお寺がとてもたくさんありますが、このお寺が一番好きです。

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PROFILE
保健学専攻
放射線治療学分野 卒業生
石澤 美優
Miyu Ishizawa

2017年、東北大学放射線技術科学専攻入学、放射線技師の資格取得。2021年、東北大学放射線治療学分野医学物理士コースに進学。修士課程中に医学物理士の試験に合格し、修士(保健学)取得。卒業後、山形大学医学系研究科重粒子線医学講座に助教として就職すると同時に同講座の博士課程に進学。現在は社会人博士として臨床業務に取り組みながら、研究をしている。